研究課題/領域番号 |
20K19741
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
長尾 篤樹 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 講師 (20802622)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 分岐プログラム / 充足可能性問題 / アルゴリズム / 計算量理論 / 厳密アルゴリズム / Sub-SAT / 領域計算量 / Read-k-time |
研究開始時の研究の概要 |
計算の複雑さの階層を解析する学問が計算量理論である.本研究では対数領域計算モデルに焦点を当て,メモリの読み込み回数の制限の有無が計算モデルの持つ性能に差異を生むかどうかを解析する.本研究の究極の目的は対数領域計算クラスと多項式時間計算クラスの分離である.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は分岐プログラムの下界解析の手法を確立する事である.そのために幅制限分岐プログラムが表現する論理関数に対する解析を行った. 計算量理論では計算モデルに対する充足性問題を解くアルゴリズムの上界解析の手法が同計算モデルのサイズ下界の手法に応用される例が多く研究されており,本研究でも同様に幅に制限をもつ分岐プログラムに対する充足性問題を解くアルゴリズムの研究を進めている. その結果,一般的な論理関数の充足性問題に解空間の制限を付随させたSub-SATと呼ばれる問題を効率的に解くアルゴリズムを構築した. 本結果を用いることで幅制限を持つ分岐プログラムを対象にした充足性問題に対しても高速に解を求めることができるようになり,これを応用させることで幅制限を持つ分岐プログラムに対しての下界解析の手法を構築できないかと模索している. 本研究の期間は三年であり,三年目を終えた時点で分岐プログラムを入力とする充足可能性問題に対して三つの国際論文誌を出版することができ,多くの知見をえることができた.しかしながら,これらの成果は本研究の主目的であるメモリアクセス回数とは異なる制限に対する結果である.分岐プログラムという対数領域計算モデルが本質的にどういった性質のものなのかを解明するという点では前進しているが,これらの知見を応用させることで下界解析の手法を新たに構築するという点では課題が残っている状況である. 分岐プログラムの一回読み制限や幅制限ををさらに緩和したモデルに対する下界解析の研究成果は世界でもまだ存在していない.その最初の一歩を踏み出すために分岐プログラムの様々な特徴について研究を進めている.本研究実績はその結果であると言える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述の一般的な論理関数の充足性問題に解空間の制限を付随させたSub-SATと呼ばれる問題を効率的に解くアルゴリズムは現在査読中であり,一般に公開されるには至っていない. また、本研究課題の最終目標である下界解析手法に関しては新たな手法を構築できず,その材料として期待される上界解析手法をいくつか構築できている状況である.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題において,メモリアクセス回数制限や幅制限を持つ分岐プログラムに対しての充足性問題を高速に解くアルゴリズムを複数構築できた.今後の研究の推進方策として,これらを応用した下界解析手法の構築が考えられる.充足性問題を高速に解くアルゴリズムから計算モデルの下界解析を行う手法は多くの計算モデルで構築されており,それらを分岐プログラムに応用させることを試みていく.
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