研究課題/領域番号 |
20K19748
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60020:数理情報学関連
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研究機関 | 成蹊大学 (2022-2023) 国立研究開発法人理化学研究所 (2020-2021) |
研究代表者 |
奥野 貴之 成蹊大学, 理工学部, 准教授 (70711969)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 中心パス / ニュートン方程式の正則性 / パレート解集合上の最適化 / 2段階最適化法 / 2段階勾配法 / レーベンバーグ・マルカート法 / オラクル計算量 / 2次収束性 / リーマン多様体 / 正定錐上の最適化 / 非線形半正定値最適化問題 / 内点法 / 逐次2次最適化法 / 線形システム同定問題 / 非線形半正定値最適化 / 制約想定 / Monteiro-Tsuciya方向族 / 2次の停留点 / 非平滑最適化 / 機械学習 / ハイパーパラメータ学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では, 与えられた行列値関数が半正定値対称行列となるような制約領域上で関数の最小化問題である非線形半正定値最適化問題(以下, NSDP)を取り扱う. とくに, これまでは取り扱いが難しかった機械学習などで出現する幅広い問題形式への対応を目指して, NSDPの理論とアルゴリズムを発展させていく. また, 機械学習で現れる実問題などを対象にした数値シミュレーションを行うことで, 提案したアルゴリズムや理論の有効性及びその実装方法について詳しく調査を行う.
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研究実績の概要 |
2023年度では、大きくわけて2種類の研究を行った。 1つ目の研究は非線形半正定値最適化問題に対する主双対内点法の収束速度に関連する研究である。主双対内点法は中心パスとよばれる摂動されたKKT点から構成されるパスを近似的に辿る手法であり、内点法の収束性能は中心パスの性質に大きく左右される。前々年度における研究において、マンガサリアン・フロモヴィッツ制約想定, 狭義相補性, 2次の十分条件という既存よりも弱い条件下のもとで滑らかな中心パスが存在することを示した。主双対内点法では、中心パスを数値的に辿るために中心パスの近傍でニュートン方程式を構成し、ニュートン方程式の解をもとに次の反復点を決定する。その中で連立1次方程式であるニュートン方程式の係数行列の中心パス付近における振る舞いがKKT点への収束速度を決定づけることはよく知られた事実である。2023年度には、中心パスのある近傍でこの係数行列が正則であることを証明した。最終的な目標は上で述べた3条件下で主双対内点法の超1次収束性を証明することであるが、証明した事実はそれへの大きな一歩になっている。 2つ目の研究は、多目的最適化におけるパレート解集合上の最適化問題に関する研究である. 構造物の設計など多くの現場では, パレート最適解を列挙した後にその中より意思決定者の選好情報に基づいて最終的な解が決定されるが,この問題はパレート解集合上の最適化問題として定式化することができる.この問題を多目的最適化問題を下位問題として持つような 2 段階最適化問題と見なし, それを解くために勾配法を基にした新たなアルゴリズムの提案を行った. 将来的には半正定値制約がつけた問題にも対応できるアルゴリズムに発展させる計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
非線形半正定値最適化問題に対する主双対内点法の中心パスの存在性とニュートン方程式の正則性に関する研究に関して、当初は海外での国際発表を行い、それを基にディスカッションを通して研究をさらに深化させて行く予定であった。ところが、covid19の影響と現所属大学における勤務予定と国際会議の予定があわず海外発表をすることができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は海外発表を行い海外研究者との議論を通して、目標である主双対内点法の超1次収束性の理論的証明の完成を目指す。そのためにはまずニュートン方程式の解の変動とバリアパラメータの0への収束速度の関係についてより深く解析していくつもりである。 次にパレート解集合上の最適化については、引き続き2段階最適化に基づいたアプローチをさらに推進してくつもりである。その中でまずは下位問題である多目的最適化問題に簡易的な制約条件を付加した状態でも対応できるようなアルゴリズムについて開発を行っていく計画でいる。
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