研究課題/領域番号 |
20K19768
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60040:計算機システム関連
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研究機関 | 大阪大学 (2021-2022) 京都大学 (2020) |
研究代表者 |
塩見 準 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 准教授 (40809795)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 計算機システム / 省エネルギー / 低消費電力化 / ニアスレッショルドコンピューティング / 近似コンピューティング |
研究開始時の研究の概要 |
定格値の半分以下の電源電圧で集積回路を稼働させるニアスレッショルドコンピューティングと,多少の計算誤りを許容する近似コンピューティングを融合させた高効率コンピューティング基盤を明らかにする.小規模画像処理プロセッサなどを例とし,具体的には以下の3テーマに取り組む. 1. 極低電圧領域において顕著に生じる演算器の遅延ばらつき(遅延故障率)をモデル化し,与えられた遅延制約のもと,演算器が実現する演算精度をフィールドテスト(モニタ)する技術. 2. 要求される演算精度を満たしつつ,演算器を稼働させ続ける性能保証技術. 3. 実チップ測定を通した前述の2テーマの検証.
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研究実績の概要 |
定格値の半分以下の電源電圧で集積回路を稼働させるニアスレッショルドコンピューティングと、多少の計算誤りを許容する近似コンピューティングを融合させた高効率コンピューティング基盤について、本年度は以下の3課題に取り組んだ。 (1) 低電圧領域ではオンチップメモリに部分的な動作故障が発生する。エッジ向け脳型コンピュータアーキテクチャの一種であるHyperDimensional Computingシステムに対して、予め適切な学習を施すことで、動作故障に起因する計算誤りを吸収して推論できることを示した。具体的には、従来手法と比べて推論精度をほぼ落とすことなく電源電圧を約25%下げることができ、結果として消費エネルギーをほぼ半減できることを明らかにした。国際会議で1件、国内研究会で1件の発表を行い、1件の受賞があった。現在、さらなる設計改良を重ね論文誌に投稿している。 (2) 集積回路に与えられた要求動作速度を満たしつつ、消費エネルギーを最小化する電源電圧とバックゲート電圧の最適化システムを前年度に設計した。この成果をまとめた内容が論文誌で採択された。65-nmプロセスにおいて、電圧最適化に必要な遅延が1 msから13 usに短縮できた。ミリ秒オーダの応答性が求められる組込システムに適用できる見込みをつけた。 (3) ゼロ要素を多く処理する応用を前提に、ゼロを記憶したビットセルを検知し、自律的に当該セルにパワーゲーティングを施すスタンダードセルメモリ構造を提案した。ゼロを記憶したビットセルのみにパワーゲーティングを行うため、オンチップメモリとしての機能性を損なわずにリーク電力を削減できる。55-nmプロセスでの実験の結果、オンチップメモリにほぼゼロが書き込まれる場合、すべて1が書き込まれる時と比較して、33%のリーク電力を削減できることを示した。国際会議にて1件の発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニアスレッショルドコンピューティングで生じる動作故障を近似コンピューティングで吸収する省エネルギーシステムの開発、というコンセプトの実証ができたためである。一方で、研究課題期間中での研究代表者の異動があり、論文誌投稿など研究課題の遂行に遅れが生じたため、残り1年間を延長してさらなる追加実験や研究課題のブラッシュアップを行う。
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り、延長された期間を用いて、研究課題の追加実験や研究課題のブラッシュアップを行う。具体的には、主に「研究実績の概要」で示した(1), (3)の論文誌投稿に関する経費出費を行う予定である。
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