研究課題/領域番号 |
20K19771
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60040:計算機システム関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川上 哲志 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (20845523)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 光コンピューティング / 再帰型ニューラルネットワーク / 計算機システムアーキテクチャ / 再帰型光回路 / 光活性化関数 / ニューラルネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ポストムーア時代を支えるコンピューティング技術として,高性能/低電力な光計算機システムの構築を目指す.近年の光デバイスを活用した演算回路研究は単体の性能評価に留まっており,システムレベルでの性能の優位性は明らかでない.特に,高速性が特徴の光演算器においては,メモリ性能がボトルネックとなる可能性が高い.本研究では,記憶機能を有する単純再帰型ニューラルネットワーク向け光演算回路を基本とすることで,メモリアクセスを削減し,高性能/低電力な光計算機システムを確立する.さらに,メモリも含めた光計算機システム全体の性能/電力評価環境を構築し,システムレベルでの設計空間探索を実施する.
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研究成果の概要 |
本研究は,記憶機能を有する単純再帰型ニューラルネットワーク向け光演算回路を基本とすした高性能・低電力な光計算機システムを確立することを目的とし光電融合演算器システムを提案した.提案回路は,再帰経路の位相差を較正する機構と光電融合非線形活性化関数を導入することで,RNNアプリケーションを効率的に実行する演算器を実現した.提案回路の精度調査においては,ノイズによる演算誤差が発生する環境下においても実アプリが精度劣化なく推論できることを確認した.さらに,既存の光/電気アクセラレータと比較し,それぞれ467倍・7.3倍の性能改善,93%・58%の省エネルギー化が達成できることを確認した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題の学術的意義は,ポストムーア時代のコンピュータ構成法として光デバイス活用のポテンシャルを示すことにある.現在の光演算器研究は,信号光波が回路内を1方向に1回だけ通過する演算方式を基本としており,その最大の特徴は光速性を活かした低遅延性である.しかしながら,低遅延な演算回路はより多くのメモリアクセスとOE/AD変換を要求し,システム性能を悪化させる可能性がある.本研究では,信号光波が複数回通過可能な再帰経路を有する演算器を基本とすることで,性能的にも消費エネルギー的にも優位であることを示した.これは,光デバイスを活用した次世代計算機の実現に向けた基盤技術創出へつながるものである.
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