研究課題/領域番号 |
20K19786
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60060:情報ネットワーク関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
酒井 和哉 東京都立大学, システムデザイン研究科, 准教授 (80730746)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | クラウドソーシング / モバイルソーシャルネットワーク / 分散アルゴリズム / 遅延耐性ネットワーク / 災害復旧 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、モバイル端末やドローンなどの異種端末で構成されるヘテロジニアス遅延耐性ネットワークのモビリティ特性を明らかにし、災害データや求められるタスクデータをリアルタイムに情報転送可能なクラウドソーシング基盤を開発する。 具体的には、1)多種多様なIoT端末で構成されるヘテロジニアス遅延耐性ネットワークを介した災害情報のデータルーティング手法、2)災害復旧タスクをリアルタイムにワーカに割当てるタスクルーティング手法の開発、3)ドローンとAndroid端末によるプロトタイプ開発と実験実証、を行う。本研究によって、これまでにない迅速な被災情報の収集と効率的な復旧作業への展開が可能になる技術を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ドローンやスマートフォンなど多種多様な門バイル端末で構成されるマルチホップ遅延耐性ネットワークにおいて、クラウドソース化された救援・復旧タスクを効率的にモバイルユーザに割り当てる分散型タスクルーティングを設計し、災害復旧クラウドソーシングの基盤技術を開発することである。2022年度は、これまでに開発したタスク割り当て問題の実装に取り組んだ。macOSに実装し、市販のPCで動作することを確認した。 またタスクユーティリティという概念を導入し、タスクを完了したときの利得とコストを考慮しつつ、ワーカへのタスクの割り当てを行うタスク割り当て問題に取り組んだ。発生したタスクの期限を元に、経過時間とともに減少するユーティリティをモデル化した。システム全体のユーティリティを最大化する問題は計算困難な問題に帰着できることを示した。提案手法としては、最適解を近似するためにグリーディー法に基づいたアルゴリズムを提案した。タスクユーティリティによって、災害復旧クラウドソーシングなどにおいて、早急に処理すべきタスクを優先的に処理できることを明らかにした。また性能評価は、シミュレーションによって提案手法の有効性を示した。モビリティトレースとしては、ダートマス大学が中心となって運営しているCRAWDADプロジェクトで公開されているモバイル端末の実レースを用いた。研究成果は国内研究会で発表するとともに、論文誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、まずヘテロジニアス遅延耐性ネットワークを定義した。決定的な経路を通るドローンとランダムに移動するモバイルユーザ(モバイル端末)を単一のモビリティモデルで扱うためにランドマークを基にしたモデルを考案した。ランドマーク間の移動は、マルコフ過程によって定量化した。データルーティングは設計したモデルを用いて最適化するとともにドローンが経由する複数のランドマークへのanycast問題へ帰着させた。 次年度は、リアルタイム性を持つモバイルクラウドソーシングにおいて、タスクを効率的に割り当てる問題に取り組んだ。タスク生成頻度をポアソン分布、リクエスタとワーカの接触パターンを指数分布としてモデル化し、グリーディ手法を応用してタスク割当アルゴリズムを設計した。提案手法によって、災害復旧の現場でリアルタイムに生成されるタスクを処理することができる。 最終年度は、タスクユーティリティという概念を導入した。タスクを完了するまでの時間が早ければ早いほど、利得が大きくなるようにし、タスク割り当てアルゴリズムを設計した。これによって災害復旧クラウドソーシングにおいて早く処理すべきタスクを効率的に処理できるようになった。性能評価は、CRAWDADのモビリティトレースを用いてシミュレーションを実施するとともに研究成果を国内研究会並びに国際会議に投稿した。研究課題の遂行は順調であるが、外出自粛を要請されたため、国内研究会発表並びに国際会議での発表が積極的に行えなかった。その結果、旅費が発生せず研究費が余った。研究期間を延期し、研究成果の投稿・発表は来年度以降に行うとともに研究費を執行する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度が最終年度であるため当初予定していた研究課題自体は完了した。しかしながら国内研究会発表並びに国際会議での発表が積極的に行えなかったため、来年度以降に学会での発表を行う。また査読コメントに基づき、研究成果の質を向上させるとともに、シミュレーションによる性能評価及びプロトタイプ開発の品質を図る。
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