研究課題/領域番号 |
20K19848
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所 |
研究代表者 |
秋山 諒 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 人間情報研究部, リサーチアソシエイト (50809902)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 光学透過型ヘッドマウントディスプレイ / 色知覚 / 色恒常性 / 拡張現実感 |
研究開始時の研究の概要 |
プロジェクタを用いて,プロジェクタの表現可能な色域を錯覚的に拡張した研究がすでに存在する.本研究では,プロジェクタと光学透過型HMDは類似した色提示方法であるため,この研究の手法をHMDに適用することをまず目指す.それが達成できたのち,正確に観察者の知覚する色を推定するために色知覚モデルを組み込み,様々な環境で自在に様々な色を表現可能な式テムを目指す.
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研究実績の概要 |
光学透過型ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は,装着者に現実世界とデジタルコンテンツを同時に観察させることを可能にし,主に拡張現実感 (AR)を実現させるデバイスとして使用される.ただし本デバイスは,使用する環境の明るさや背景の影響を受けてしまい,表現できる色が本来よりも制限されてしまうという問題がある.物理的にこの問題を解決するためには,使用環境を暗くすることや,出力の高いHMDを使用することなどが挙げられる.ただし,装着することでどこでも使用できることが利点の1つであるHMDを使用する環境を暗い場所に限定してしまうのはナンセンス であり,光学透過型HMDは依然として高価なものが多く,簡単に出力の高いものと取り替えるということが難しい場合も多い.そこで本研究で は,錯視を誘発することによって,光学透過型HMDが表現可能な色域を錯覚的に拡張することを目的とする. 今年度は,プロジェクタを使用して成果が出ている手法を光学透過型ディスプレイへ適用できるようにモデルの修正を行った.そのモデルを使用することにより,プロジェクタでの研究と同様に,実物体の色を変調する目的においては効果がありそうであることが確認できた.ただし,光学透過型HMDの主な使用用途として,3Dモデルなどのデジタル情報の重畳表示がある.現段階では,実物体の見た目を変化させるという目的に特化しており,3Dモデルなどの色の表現幅を拡張するには至っていない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既存のプロジェクタを使った手法をHMDに持ち込むこと自体は成功したといえると考える.ただし,光学透過型HMDではデジタルコンテンツ表示に重きを置かれる傾向がプロジェクタよりもより高いことが一般的であることが議論の中で明らかになった.よって,HMDの用途に即した利用価値の高い研究とするためには,実物体の色変調ではなく,デジタルコンテンツの色の表現域の拡張が求められる.そのためには,現在のモデルをベースに新たなモデルを構築することが必要となる.当初の予定としてはおおむね順調であるが,新たな課題が見つかり,それに伴って被験者実験等がまだ行えていないことからやや遅れていると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
プロジェクタで誘発できていた錯視を光学透過型のディスプレイでも誘発可能であることは検証できたと考える.次のステップとしては,実際にこの錯視誘発のモデルを組み込んだHMDと組み込んでいないHMDでは,知覚的にどれほど表現可能な色域に差が出るのかを検証しなくてはいけない.特に,HMDにおいてはデジタルコンテンツの色をどれほど再現できるかということを検証する必要があると考えられる.そのためにまず,デジタルコンテンツの色域拡張のためのモデルを構築し,それを光学透過型ディスプレイに実装する必要がある.今後は今までとは問題設定を少し変えて,よりHMDの用途に即したモデル構築を行っていく.
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