研究課題/領域番号 |
20K19858
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61030:知能情報学関連
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研究機関 | 東京大学 (2022) 東京工業大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
内山 瑛美子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (30845269)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | バランス制御器 / 視知覚モデル / 筋協調解析 / 赤池情報量 / テキストマイニング / 転倒実態解明 / 転倒予防 / リスク評価 / 動態解析 / データマイニング |
研究開始時の研究の概要 |
躓き・ふらつきに着目し,リスク因子の探索・発見を目的として心身機能低下が転倒を引き起こす機序のモデル化,予防のためのスクリーニングテストの開発,転倒を引き起こす要因のデータ科学的な探索手法提案を目指す. 身体機能低下によるパフォーマンス低下及び認知機能低下による環境情報の知覚のずれのモデル化を行うことで,心身機能低下が転倒のリスクを引き上げることを定量的に説明可能にする.また統計情報を活用することによって質問紙・時系列情報から未知のリスク因子を探索可能にする理論的枠組みを構築する.更に,物理モデル及びマルチモーダルデータから転倒リスクの識別器を構築し,高リスク群のスクリーニングテストを開発する.
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研究実績の概要 |
本研究では転倒のうち多数を占める躓き・ふらつきに着目したリスク因子の探索・発見を目的とし,(A)心身機能低下が転倒を引き起こす機序のモデル化,(B)データ科学的アプローチによる転倒を引き起こす要因の探索手法の提案,(C)予防のためのスクリーニングテストの開発を目指している. 今年度も,昨年度に引き続き,研究項目(A)及び(C)に重点的に取り組んだ.今年度の実績については下記の通り. (1) 研究項目(A)について,奥行方向の知覚は,これまで視覚的な入力のみを想定し,錯視にて知覚量を推定していたが,実際に対向刺激を検知する距離を測定し,俯角が大きく関わることを実験的に明らかにした.この結果は国内会議に投稿・発表済である.この実験の過程で,目の疾患を持ち視力が落ちた者については奥行知覚力が低下することが明らかになった.この現象を情報学的に説明するモデルについても提案し,来年度開催の国内会議に投稿中である.さらに,ふらつきに着目したモデルについて,静止立位時の制御モデルを仮定してそのパラメータを用いることで,従来のCoP(足圧中心)に着目したバランス解析とは異なる視点でバランス能力を議論する手法を開発した.この成果については来年度開催の国際会議に投稿中である. (2) 研究項目(C)について,上記研究項目(A)の結果に基づいて,ふらつきのモデルを得るための一連のフローをスクリーニングテストの試案として提案し,国内シンポジウムにて来年度発表予定である.昨年度応募した研究協力者に対し実験を実施の予定であったが,研究代表者の産後休業・育児休業取得および研究機関異動と利用可能施設の変更のために実験予定がずれこみ,実験を実施することはできなかった.現在利用可能施設を新たに見つけ,実験のための整備を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は研究代表者の産後休業・育児休業取得および研究機関異動と利用可能施設の変更のために実験予定がずれこみ,昨年度・一昨年度の新型コロナウイルス感染症の影響に引き続いて実験を実施することができなかった.しかし一方で,既存データを用いることで解析を進めることはでき,ふらつきに関するバランス制御モデルを仮定し,そのパラメータを得ることでバランス能力を評価するテストの試案を開発することができた.この試案に基づいた計測及び解析フローに従うことで今後多くの対象者のバランス能力を議論することができるという点で,本研究は順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
3年間延期となっている実験について,実施することを最優先と考える.実験では,開発されたスクリーニングテストの試案に基づいてデータを計測し,スクリーニングテストの有用性を示すことを目指す. また,テストによって得られたデータから明らかにできる身体機能の評価項目について,解析結果からより詳細に議論し,躓きおよびふらつきのリスクには何が指標としてよいかを定量的に検討する. さらに,自宅内での転倒に着目し,そのリスクを,開発したテストで計測できるように試案を改良する.
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