研究課題
若手研究
独立同分布に従う観測に基づく統計的推測において成立する漸近理論を、不規則系の統計力学の知見を元に、相関のある観測へ対応するように拡張する。推定量の一致性といった理論的な保証を与えると共に、相転移現象の現象論的な理解も深める。相関のある観測に基づく統計的推測に統一的な視点を与えることを大きな目標とし、条件付き独立な観測に基づく統計的推測における漸近理論を展開する。画像や時系列を対象に理論を実践する。
条件付き独立な観測に基づく統計的推測の漸近理論を探求すると共に、実践的研究を相補的に行い、知見の利活用と問題意識のフィードバックを図った。理論面ではベイズ推定のスケーリング則を導出した。これを元にベイズ推定が計測データの質や量に応じた複数の状態を取り、状態によってモデルを最良とみなす性質を発見した。実践面では、速度分布関数やバンド構造のベイズ的モデル選択を提案した。複数の候補モデルのうち、実験データに対してどれが妥当かは時に論争になるが、提案法はこうした議論に指針を与える。更に、パターン形成を記述する支配方程式の推定法を提案した。提案法は所望のパターンを定常解とする偏微分方程式を与える。
近年、先端計測と統計解析の統合的な発展を目指す計測インフォマティクスの領域が勃興している。独立同分布な観測を仮定する統計的推測の漸近理論は推定量の一致性を保証する有用な数理基盤である一方、多くの物理計測はその仮定を満たさない。本プロジェクトでは物理計測を反映して条件付き独立な観測を仮定し、従来理論の拡張を図った。また、計測ノイズの影響を反映する極限を新たに考え、各種統計量のスケーリング関数を導出することで、相転移現象とも呼ぶべき、統計的推測の質的変化を解明した。以上は計測インフォマティクスを推進する重要な知見であるとともに、不規則系の統計力学との数理的な対応の観点でも興味深い示唆を与える。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 3件、 招待講演 12件) 備考 (1件)
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https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/852/