研究課題/領域番号 |
20K19902
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61050:知能ロボティクス関連
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研究機関 | 和歌山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
村山 暢 和歌山工業高等専門学校, 知能機械工学科, 准教授 (30709176)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 群ロボット / 耐故障性 / 連結性 / 連結性維持 / 長時間 / ロバスト性 / グラフ連結性 / 自律分散制御 |
研究開始時の研究の概要 |
群ロボットシステムにおける、タスク達成度には直接貢献しないがシステムの頑健化に貢献するようなロボット、すなわち「働かないロボット」を創発する手法を探る。被覆や探索といった広範囲へ移動しネットワークを通じて情報交換するような協調タスクの実現には、ロボット間の無線通信ネットワークの連結性が重要である。本研究ではいくつかのロボットが自律的に「働かない」ことを選択し、協調タスクの達成度とネットワーク構造の耐故障性を両立できるような自律分散制御手法を目指す。
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研究実績の概要 |
群ロボットにおける被覆や探索といった広範囲へ移動しネットワークを通じて情報交換する協調タスクの実現には、ロボット間の無線通信ネットワークの連結性が重要である。群ロボットは多数のロボットによって構成されるシステムであることから、部分的な故障が発生するリスクが大きく、一部のロボットが故障するとネットワーク全体の連結性が崩れる恐れがある。ネットワーク構造を故障に対してロバストにする必要がある一方、従来の連結度を指標にしたロバスト化はシステムの自由度を著しく制限する欠点があった。本研究ではいくつかのロボットが自律的に「働かない」ことを選択し、協調タスクの達成度とネットワーク構造のロバスト性を両立できるような自律分散制御手法を目指した。 前年度までに我々は、従来の連結度とは異なるロバスト性の指標を定式化し、そのロバスト性を実現するための自律分散制御手法を開発した。新しいロバスト性の指標は、特定のロボットが故障したあとに残るロボットによって構成されるネットワークの最大連結成分のサイズを基にした指標である。どのロボットが故障しても最大連結成分のサイズが一定数以上に保存されるような自律移動手法を開発し、計算機シミュレーションによって効果を検証した。 当該年度には、前年度までに提案した自律分散制御手法が被覆タスクの達成に対してトレードオフの関係にあること、一部のロボットのロバスト性へ貢献によってシステム全体の耐故障性が大きくなることを解析した。ここでは一部のロボットが被覆タスクへの貢献を犠牲にしてネットワークのロバスト化の役割を担うことで、最大連結成分のサイズを大きく保つことができることがわかった。これによって、確率的にロボットの故障が起こる場合を想定して、目標とする長時間被覆率を入力パラメータとして被覆タスクを実行することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度までに提案した自律分散制御手法が被覆タスクの達成に対してトレードオフの関係にあること、一部のロボットのロバスト性へ貢献によってシステム全体の耐故障性が大きくなることを解析した。ここでは一部のロボットが被覆タスクへの貢献を犠牲にしてネットワークのロバスト化の役割を担うことで、最大連結成分のサイズを大きく保つことができることがわかった。これによって、確率的にロボットの故障が起こる場合を想定して、目標とする長時間被覆率を入力パラメータとして被覆タスクを実行することが可能となった。 一方で、実ロボットを利用した長時間検証実験に関する作業が滞っている。ロボットに利用しているシングルボードコンピュータの供給が安定していないこと、既存の分散アルゴリズムに実装上の困難が生じたことから、多数ロボットの実験を実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
実ロボットの開発・実験と並行して、計算機シミュレーションでの提案制御手法の検証を行う。また、実ロボットのバッテリー残量をシミュレーションに反映させるなど、実験とシミュレーションの連携によって実証実験の代理となる検証を進める。
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