研究課題
若手研究
細胞間相互作用を介した遺伝子制御ネットワークは多細胞の多彩な機能を生み出し維持するため、これら機能の理解に重要である。しかしながら、細胞間相互作用と遺伝子制御ネットワークの同時推定は重要であるにも関わらず、計測技術の限界で未達成だった。そこで、近年報告された1細胞空間トランスクリプトームデータから細胞間相互作用と遺伝子制御ネットワークを同時推定して統合する手法を提案し、多細胞機能を読み解く。
細胞間コミュニケーションは、遺伝子発現など細胞内部の状態を制御し、正常な発生から疾患までにおいて細胞機能に重要な役割を担っている。さらに、シングルセルRNAシーケンス法により、高変性遺伝子(HVG)の細胞間発現変動が明らかにされ、これもまた細胞機能に重要である。しかしながら、細胞間コミュニケーションを介したHVGの細胞間発現変動の制御については、未だほとんど解明されていない。近年、空間トランスクリプトーム法の登場により、単一細胞の遺伝子発現プロファイルが空間的コンテキストにつながり、細胞間相互作用によるHVGへの制御が明らかになると期待されている。既存の解析手法では、隣接する一つの細胞型から影響を受ける遺伝子発現を抽出する。しかしながら、HVGに焦点を当てず、複数の隣接する細胞型の影響を考慮しないため、定量性と解釈性に課題が残っていた。そこで、空間トランスクリプトームデータに基づき、HVGの細胞間発現変動に対する複数の近傍細胞型の影響として、細胞間コミュニケーションを同定する枠組みであるCCPLS (Cell-Cell communications analysis by Partial Least Square regression modeling) を提案した。CCPLSは、細胞型ごとにPLS回帰モデリングを行い、その回帰係数を細胞間コミュニケーションの定量的な指標として出力する。シミュレーションデータを用いた評価では、本手法により、隣接する複数の細胞型がHVGに与える影響を正確に推定できた。さらに、2つの実データセットに適用した結果、CCPLSは抽出された細胞間コミュニケーションから生物学的に解釈できる知見を抽出できることが示された。ここまでの成果を2022年度に論文発表した。2023年度は各データ点に複数細胞を含むデータをCCPLSが扱えるように拡張を試みた。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)
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