研究課題
若手研究
細胞間相互作用を介した遺伝子制御ネットワークは多細胞の多彩な機能を生み出し維持するため、これら機能の理解に重要である。しかしながら、細胞間相互作用と遺伝子制御ネットワークの同時推定は重要であるにも関わらず、計測技術の限界で未達成だった。そこで、近年報告された1細胞空間トランスクリプトームデータから細胞間相互作用と遺伝子制御ネットワークを同時推定して統合する手法を提案し、多細胞機能を読み解く。
本研究では、細胞の遺伝子発現と空間座標を同時に計測する1細胞空間トランスクリプトームデータを用い、ある細胞型のHighly variable genes(HVG)に対して近傍の細胞型の種類による影響を推定する情報解析手法CCPLS(Cell-Cell communications analysis by Partial Least Squares modeling)を開発した。シミュレーションデータを用いた評価実験で、CCPLSが細胞間相互作用を精度高く推定できることがわかった。また、脳と大腸における実データ適用例から、生物学的に解釈できる細胞間相互作用を抽出し、この手法の有効性が示された。
CCPLSは1細胞空間トランスクリプトーム全般に適用可能で、細胞型の空間配置によって発現変動する遺伝子を抽出できることから、例えば、周囲に免疫細胞が少なく悪性度が高いとされる飛炎症性腫瘍など、細胞の微小環境に着目した創薬標的探索への応用が期待される。また近年、いくつかの国際コンソーシアムを中心に、1細胞空間トランスクリプトームデータの収集と蓄積が進んでおり、CCPLSをこれらのデータに対して適用することで、基礎生物学から疾患研究まで、さまざまな生物学的知見の発見につながると期待される。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)
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