研究課題/領域番号 |
20K19956
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
池盛 文数 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 連携研究員 (00773756)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 有機トレーサー / 有機エアロゾル / SOA / PM2.5 / 高時間分解 / 粒形別 / 有機トレーサー成分 / ニトロ芳香族炭化水素 / 粒径分布 / 粒径別 |
研究開始時の研究の概要 |
ニトロ芳香族炭化水素類(NAHCs)は、光吸収能を示すことから気候変動に寄与し、また、人への健康影響も懸念される化学成分である。しかし、大気粒子中におけるNAHCsの濃度、時間変動、粒径分布、発生起源、生成・変質機構などその実態は明らかではない。本研究では、都市や郊外で夏と冬に、大気粒子の粒径別、PM2.5の時別捕集を行う。各捕集試料中のNAHCsと発生起源指標物質を測定し、NAHCsの粒径分布、季節傾向、地域特性、主たる発生源を明らかにし、NAHCsの生成・変質メカニズム、発生起源を考察する。また、その成分濃度比が、発生起源の影響や二次的な変質進行度を示す新規指標として有効であるか評価する。
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研究成果の概要 |
名古屋で捕集したPM2.5の時別試料(テープろ紙)を用いて、春と夏の光化学オキシダント高濃度イベントにおいて3時間ごとの有機指標成分とニトロ芳香族炭化水素の分析を、GC-MSおよびLC-MS/MSにより行った。データを解析した結果、3,5-ジニトロサリチル酸/5-ニトロサリチル酸比を大気中での変質の進行度を示す指標として用いることができる可能性を示すことができた。 粒形別試料を用いたNAHCs分析により、冬季においてニトロカテコール類は90%以上、ニトロサリチル酸は80%以上がPM2.5に濃縮されていることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
観測例が極めて少ないニトロ芳香族炭化水素について、LC-MS/MSによる高感度分析を確立し、高時間分解観測や粒形別分析を行った。高時間分解観測により、ニトロ芳香族の時間変動を明らかにし、有効なトレーサーが少ない人為起源SOAについて、3,5-ジニトロサリチル酸/5-ニトロサリチル酸比を大気中での変質の進行度を示す指標として提案した点は重要な学術的意義を持つ。日本国内のPM2.5濃度は、国内の環境基準値をほぼ達成しているが、WHOが推奨している目標値よりは以前高濃度であるため、削減対象となりうる人為起源SOAに関する本研究の成果は社会的な意義を持つ。
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