研究課題/領域番号 |
20K19960
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 (2022) 沖縄科学技術大学院大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
山田 洋輔 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 研究員 (80773720)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 海洋細菌 / ナノサイズ粒子 / 表面性状 / 炭素循環 |
研究開始時の研究の概要 |
海洋において細菌は光合成により固定された炭素の約半分を利用・分解する。この過程は大気中二酸化炭素の濃度調節にも関わる海洋炭素循環の鍵プロセスである。海水中に多量に存在するナノサイズ粒子は細菌の炭素源として重要だと指摘されているが、ナノサイズ粒子の細菌への付着についてはその制御要因が不明であり、気候変化に対する海洋炭素循環の応答を予測する上での大きな障害となっている。本申請では、応募者が先行研究により見出した新規パラメータ「細菌の表面粗さ」がナノサイズ粒子の付着にどう影響するのか詳細な解明を目指す。
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研究実績の概要 |
細菌表面粗さとナノサイズ粒子付着との関係を詳細に解明することにより、海洋炭素循環の鍵プロセスである細菌の有機物利用・分解過程の理解を深化させることが本研究の最大の目的である。本研究では細菌表面粗さという新規パラメータに着目し、細菌によるナノサイズ粒子付着機構の解明に必要なサブテーマ1と2を設定したが、ここでは、その実績概要について、サブテーマごとに記述する。 サブテーマ1:細菌表面粗さは生物の死骸や破片、他のナノサイズ粒子の付着も制御しているのか、については、本年度は単離細菌および表面修飾の異なるポリスチレン粒子をモデル粒子として使用した細菌との培養実験により、細菌やナノサイズ粒子の種類によって、細菌への付着に差があることが明らかになった。 サブテーマ2:様々な海洋物理化学環境要因は細菌表面粗さに影響するのか、については、沿岸域および外洋域(海域の異なる2つの研究航海)での環境パラメータ測定および細菌サンプルの採取を行い、細菌表面粗さとの比較を行った。1000細胞以上のデータを解析し、環境要因との関係が解明された。 サブテーマ1,2の一部達成により、細菌の表面粗さが海域により大きく異なり、それがナノサイズ粒子の付着に影響していることを支持するデータを得た。これらのデータをまとめ、主著として国際誌に論文を投稿し、受理された(Yamada et al. 2023)。今後はさらなる解析および付着モデルの検討などを行い、より普遍的な細菌とナノサイズ粒子付着メカニズムの解明を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究申請時に設定したサブテーマ1と2の内容については概ね達成でき、最終的に論文化に至った。本研究を進めている間に、さらに普遍的なメカニズム解明につながる可能性を見出せた。そこで研究期間を1年を延長し、さらなる解析や付着モデルなどの検討を行い、目的の達成を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
小規模な培養実験、現場観測などのデータを入手し、これまでに得たデータと合わせ、より詳細な解析および付着モデルの検討を行う。それにより、より普遍的な細菌とナノサイズ粒子付着メカニズムの解明を目指す。
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