研究課題/領域番号 |
20K19962
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 特定非営利活動法人富士山測候所を活用する会(富士山環境研究センター) (2022) 国立極地研究所 (2020-2021) |
研究代表者 |
小室 悠紀 特定非営利活動法人富士山測候所を活用する会(富士山環境研究センター), 第一研究部, 特任研究員 (60867331)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | グリーンランド / アイスコア / 鉱物ダスト / 陸域環境変動 / 氷床変動 |
研究開始時の研究の概要 |
氷床上に沈着した鉱物ダスト粒子(以後、粒子と略す)は、氷床表面のアルベドを低下させ、日射による氷床融解を促進する効果がある。温暖化等による氷床の縮小は、氷床に覆われていた陸面を露出させ、粒子の新たな発生源を生み出す可能性がある。しかし、このような氷床周辺の環境変動が氷床上の粒子量に与える影響は十分に解明されていない。本研究では、アイスコアを用いて氷床上における過去の粒子量変動を復元する。そして、氷床周辺地域を起源とする粒子の寄与を推定し、その時間変動が同地域のどのような環境要因の変動と関係しているかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
国立極地研究所の連続融解分析装置やコールターカウンターを用いて、グリーンランド内陸部で掘削されたアイスコアの化学成分や鉱物ダストを分析した。グリーンランド沿岸部由来である粒径が大きい鉱物ダストと北大西洋振動指数の時間変動を比較した結果、両者の変動が整合的であることがわかった。そのため、グリーンランド周辺の大気循環の変動や、それに伴う沿岸部の気温や地表面環境の変動が、同地域を起源とする鉱物ダストの供給量へ影響を与えていた可能性が示された。大きい鉱物ダストは1600年ごろから増加するため、この時期を境に、グリーンランド周辺の大気及び地表面環境が変化した可能性があることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的な特色は、アイスコアに含まれる大きい鉱物ダストを調べることで、その起源地域であるグリーンランド周辺の古環境情報を復元できる可能性を示したことである。特に内陸部のアイスコアでは大きい鉱物ダストの研究例がほとんど無いため、それが持つ古環境プロキシとしての利用可能性を示した意義は大きい。また、鉱物ダスト供給量の変動原因の一つを示したことは、将来の環境変化に伴う鉱物ダストによるグリーンランド氷床表面のアルベドの変化量や、それによる氷床表面の融解量及び海水準の変化量をより正確に予測することへ貢献するため、社会的意義も大きい。
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