研究課題/領域番号 |
20K19970
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
永田 健斗 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線影響研究部, 研究員 (00867236)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ラット / 乳がん / 放射線 / 幹細胞 / 組織微小環境 / 乳腺 / 炎症 / 放射線影響 / 発がん / 炎症反応 |
研究開始時の研究の概要 |
一般的には、放射線はDNAに損傷を与え、誤修復によって生まれる変異の蓄積が発がんにつながると考えられている。一方で、組織微小環境の変化によって発がんが誘導される可能性もある。例えば、放射線により炎症反応が誘導され、慢性的な炎症反応は変異細胞の発生・増殖を促す。 ヒト乳がんのモデルとして、ラット乳がんは有用性が高い。本研究では、炎症反応のような組織微小環境の変化がラット乳腺の発がんの線量率依存性を決定する要因となっている可能性を検討するため、発がん効果が異なることがわかっている様々な線量率において炎症反応を引き起こす細胞の特定を行い、発がんリスクの線量率依存性を炎症反応で説明することを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、放射線による炎症反応が引き起こす組織微小環境の変化は、乳腺の発がんに影響するか否かを検討した。 炎症細胞が多く存在する間質組織と乳腺上皮をラット乳腺の組織切片および透明化組織により区別する手法を確立し、炎症細胞(CD68陽性マクロファージ)は乳腺間質に存在することを確認した。放射線被ばく後の分子メカニズム解明のためRNAシーケンスを行い、放射線照射は乳腺上皮細胞の分化を抑制する他、炎症系因子を活性化させることを示唆するデータを得た。今後、放射線によって誘導される炎症と乳腺上皮細胞の分化異常の関連性、さらにそれが発がんにどのように寄与するのかを検証する。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、放射線被ばく後の数週間以内の乳腺において細胞の分化や炎症について検討した。RNAシーケンスから得られたデータは放射線が乳腺上皮細胞の分化抑制、炎症反応の増大を引き起こす可能性を示唆するものであり、放射線被ばく後数週の乳がん発症前の発がんメカニズムの解明等のつながる基礎的な知見を創出した。今後のさらなるメカニズム研究により、放射線被ばく防護剤、乳がん患者に対する標的分子治療薬の開発等、社会実装に向けた基礎研究となりうる。
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