研究課題/領域番号 |
20K19972
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
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研究機関 | 一般財団法人電力中央研究所 |
研究代表者 |
内之宮 光紀 一般財団法人電力中央研究所, サステナブルシステム研究本部, 主任研究員 (40784426)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 低線量率放射線 / 数理モデル / 細胞競合 / 発がんリスク / 進化ゲーム理論 / 多段階発がんモデル / 複製エラー / 数理生物学 / 放射線生物学 |
研究開始時の研究の概要 |
発がんリスクは幹細胞の複製エラーや放射線被ばくで上昇すると考えられる。また、近年の研究より幹細胞競合等の細胞間相互作用で組織の健全性が保たれていることが明らかになりつつある。本研究ではまず、発がんリスクに対する複製エラーと放射線それぞれの寄与を評価できる数理モデルを構築する。さらに幹細胞競合の効果を組み込み、構築したモデルのパラメータの値をがん統計などから推定する。これにより、幹細胞競合の効果を定量的に示し、低線量・低線量率放射線の影響をより正確に評価するための基盤とする。
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研究成果の概要 |
複製エラーのみを考慮することにより、多くのがんの発がんリスクを説明することができた。一部のがんでは推定されたパラメータが既存の研究結果に比べて過大であったため、外的要因を考慮したところ、既存の知見と同程度のパラメータ範囲で発がんリスクを説明できた。また、放射線による損傷の蓄積が幹細胞競合によって抑制されるか促進されるかは、細胞の性質だけでなく、細胞プール中の総細胞数や空間構造の有無によって異なる可能性があることを示した。さらに、複製エラー、外的要因によるDNA損傷、細胞競合を合わせて考えることで、発がんに低線量・低線量率放射線がどのように影響するかを解析するための基盤を作った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、基礎生物学、放射線防護、医療などの放射線利用を考える面においても重要である一方、検出が難しく十分解明されていない低線量・低線量率放射線の発がんへの影響を捉えるための基盤となる数理モデルを開発した。複製エラーと外的要因によるDNA損傷を考慮することで、複製エラーを基準として放射線などの外的要因によってどれだけ発がんリスクが上昇するかを議論できる。また、低線量・低線量率被ばくにおいて重要だと考えられる幹細胞競合を考えることで、放射線発がんをより一般的に捉えることができる。
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