研究課題/領域番号 |
20K19982
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64010:環境負荷およびリスク評価管理関連
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研究機関 | 筑波大学 (2021-2023) 名古屋大学 (2020) |
研究代表者 |
原 田 筑波大学, 生命環境系, 助教 (80868258)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | モリブデン / 吸着 / グラニュール汚泥 / 地下水 / バイオ炭 / 下水汚泥 / 浄化材 / 毒性評価 / 飲用井戸水 / リスク評価 / 元素浄化 / 元素曝露 / 健康影響 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者らは、開発途上国の飲用井戸水に関するフィールドワーク調査研究から、モリブデンの高濃度汚染傾向を確認している。飲水を介した慢性的なモリブデン曝露による発癌などの健康影響が想定される。しかし、国際がん研究機関(IARC)によると、モリブデン化合物は「ヒトに対する発癌の可能性がある」とされているが、水中の主な形態であるモリブデン酸イオンによる発癌毒性に関しては全く明らかにされていない。本研究は、モリブデンの発癌毒性およびその機構をin vitroで評価し、モリブデンの新規浄化法を開発する。本研究の成果は、世界的なモリブデンの飲料水水質基準の見直しにつながると考えている。
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研究実績の概要 |
本研究では、申請者はアフガニスタンで採取した飲用井戸水サンプルの元素解析を行い、高濃度のモリブデン汚染を確認した。モリブデンの毒性については、酸化モリブデンは発がん物質カテゴリー2Bに分類されているが、発がん性に関する影響は十分明らかではない。また、水中の主な形態であるモリブデン酸イオンによる発がん毒性は全く明らかにされていない。モリブデンに汚染された地下水の検出情報が非常に少ないことに踏まえ、WHO飲料水水質ガイドラインでは、モリブデンの基準値を設定しておらず、健康を考慮した値として70ug/Lを推奨している。本研究はアフガニスタンの飲用井戸水の網羅的元素解析を通してモリブデン汚染地下水の情報を提供し、生物学的手法を用いて水中モリブデン酸の健康リスクを科学的に評価し、さらにモリブデンの除去に資する浄化技術を開発する等一連の研究による確実に地下水元素汚染問題に貢献することを目指している。昨年度までは、井戸水サンプルの元素解析を完了し、モリブデンの発がん毒性を評価し、モリブデンの除去に優れる効果がある2種類の浄化材を確認した。2023年度では、さらに余剰グラニュール汚泥を用いるモリブデン吸着メカニズムの解明、およびモリブデン吸着に対する共存元素の影響を調べた。モリブデン吸着前後のグラニュールをSEM-EDXによる元素分布分析、抽出した細胞外高分子物質中のモリブデン濃度分析により、細胞外高分子物質に含む多糖類、鉄、カルシウム、マグネシウム等の陽イオンはモリブデンの吸着に貢献した可能性を示した。また、グラニュール汚泥の表面に沈殿物を形成することによって、吸着中に色の変化が見られ、モリブデン吸着量の迅速な検出に貢献することが可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ影響で、アフガニスタンでは再度井戸水サンプルの採取ができなくなり、開発した浄化材の実サンプルの浄化効果を確認できなかったが、今年度から開発した浄化材のモリブデン吸着メカニズムと共存元素の影響、鉛等毒性がある重金属の吸着効果とメカニズムに関する研究を進めており、新規浄化材のより広い応用可能性を確認できた。以上のことから、上記の評価を判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度では、これまでの成果をまとめ論文を発表し、開発した浄化材の吸着メカニズムと再利用可能性を続けて検討する予定である。
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