研究課題/領域番号 |
20K19998
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64030:環境材料およびリサイクル技術関連
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研究機関 | 久留米工業高等専門学校 |
研究代表者 |
渡邊 悠太 久留米工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (20791461)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 酸化チタン / 光触媒 / ショットコーティング法 / 固相成膜 / ショットコーティング / 付着効率 / コールドスプレー / 固相粒子積層 / エアロゾルデポジション |
研究開始時の研究の概要 |
酸化チタンは光触媒作用を有する材料として環境浄化分野での利用が期待されている。しかしその固定化にはバインダーが必須とされ、バインダー利用に伴う光触媒性能の低下が問題となっている。本研究は光触媒用酸化チタンのバインダーレス固定化技術の開発を目指すものである。 特殊なナノ構造セラミックス粒子を大気中で超音速に加速し、固体のまま基材表面に衝突させると付着する現象が起こる。この現象を利用し、バインダーを使用しない酸化チタン単体での固定化技術確立を目指す。
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研究実績の概要 |
従来,セラミックス材料の成膜にはプラズマ溶射が用いられてきたが,これは材料の溶融を必須とする.酸化チタンにこれを適用すると熱的相変態を起こしてしまう.そこで非加熱プロセスであるショットコーティング法に着目した.ショットコーティング法とはショットピーニング法を応用した成膜法である.ピーニングメディアを基材上に付着させることで皮膜を作製する.本研究ではショットピーニング法と同様に固体の粒子を衝突・付着させることで皮膜を作製するプロセスであるコールドスプレー法において成膜が報告されている凝集酸化チタン粉末を用いてショットコーティング法による成膜を行い,ショットコーティング法が酸化チタン成膜プロセスとして適用可能か調査した. ショットコーティング法を用いて酸化チタン成膜を行った結果,以下の知見を得た.1)凝集酸化チタン粉末を用いることでショットコーティング法により純アルミニウム(A1000),無酸素銅(C1020),炭素鋼(S45C),ポリ乳酸(PLA)基材上に皮膜を作製できた.付着効率は0.3-0.6%であった.2)炭素鋼(S45C)基材は純アルミニウム(A1000),無酸素銅(C1020)基材に比べ酸化チタンが容易に付着するが皮膜成長に伴い剥離を生じる.これは硬い基材に粒子が衝突することで粒子の変形が促進され付着しやすくなるが,基材の変形が限定的であるため基材-皮膜間の結合強度が低いためであると考えられる.3)ノズルを基材に対して傾けることで付着に至る粒子のノズル半径方向の分布が変化する.したがってノズルと基材の位置関係を最適化することで付着効率を向上させることができることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
低圧コールドスプレー装置の導入ができず類似プロセスであるショットピーニング法を使用することとなったため,実験環境の構築に時間を要した. コールドスプレー法の類似プロセスであるショットコーティング法における検討を行ってきたがコールドスプレー法にくらべ材料に与えることのできるエネルギーが少ないこともありコールドスプレー法にくらべ付着効率が低く密着強度の測定には至っていない.しかし,ノズルと基材の位置関係を最適化することで付着効率を向上させることができることが示唆されている.ショットコーティング法はコールドスプレー法に比べ,イニシャルコスト,ランニングコストともに安価でありショットコーティング法によって光触媒用酸化チタンのバインダーレス固定化技術の開発に成功すればその産業的意義は大きい.
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今後の研究の推進方策 |
触媒用酸化チタンのバインダーレス固定化技術の開発を当初のコールドスプレー法用いた方法から変更しショットコーティング法による検討を行ってきた.ショットコーティング法により高い密着強度の厚膜を形成するには至っていないが,光触媒反応は表面反応であるため基材表面に均質に酸化チタンを付与できれば厚膜形成は不要である. これまでの取り組みにより膜厚50μm程度の均質な皮膜の作製成功しているが,溶射法で一般的な引張密着強度の評価には皮膜厚さとして100μm以上が必要となるため,厚膜化のための付着効率の向上が必要である.これまでの研究結果よりノズルと基材の位置関係を最適化することで付着効率を向上させることができることが示唆されており,ノズル半径方向の粒子速度分布とノズル角度による基材活性化の度合いについて検討を行い酸化チタン皮膜の厚膜化を目指す.
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