研究課題/領域番号 |
20K20002
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
内田 圭 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40747234)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 生物多様性 / 植物種 / 適応進化 / 都市化 / 都市環境 / 群集集合 / 種分布 / 都市生態系 / ラン科 / 絶滅危惧種 / 植生 / ラン / 植物 / メガシティ / 生態系サービス / 都市緑地 / 緑地保全 |
研究開始時の研究の概要 |
世界的に、オーバーユースおよびアンダーユースの両面から都市緑地の生物多様性は減少しているが、東京や大阪に代表される人口過密環境であるメガシティにおいて都市緑地の生物多様性の成立パターンと保全政策への応用を検討した例はとても少ない。本研究では、都市郊外から中核への環境傾度にともなう生物群集の成立パターンを定量化し、適応してきた種群の適応メカニズムを検討する。最後に、生物群集の都市への適応が人間社会へもたらす付加価値をアンケート情報の分析から明らかにし、「都市緑地の環境」を保全することのインセンティブを可視化し、生物多様性と人間の共生に向けた施策を提案する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、都市における植物の適応および群集構造に関する論文が発行された。都市域において、カタバミの葉は緑から赤色に形質が変化し、ヒートアイランドに対して耐性を持っていると考えられた。本結果は、人為環境下において適応促進のため、形態形質のみならず、その科学的な含有物を変化させ適応していることを示した、革新的な研究となった。個体群構造の調査では、都市緑地公園から50m離れるだけで、カタバミは赤色に変化し、人間が改変した都市的土地利用に急激に適応していったことが考えられた。実地実験においても、赤色のカタバミは高温条件下で種子を多く結実させるなど、多角的な側面から赤色形質の頑健さを証明することが出来た。本論文はScience Advancesに掲載され、10000ダウンロードを超えている。 また都市緑地における植物群集の群集集合パタンの研究についても1報が発行された。東京都は顕著に緑地環境が減少した地域である。その中において、史跡として指定された緑地は未来も緑地が維持される可能性がある。今回対象とした玉川上水は、農地の史跡として緑地が維持されている。しかしながら近年、その管理手法が変化し、人間が管理することのない緑地が増加してしまった。玉川上水において、東京都がその上水としての機能を維持するため管理している場所では植物の多様性が高い事を示し、今後も緑地管理を維持することが、生物多様性の維持に繋がることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度と同様の課題であるが、緑地における実地アンケート情報の解析により、都市の生物多様性の認知やその効果について検証を実施する予定であった。しかしながら2020-2022年初頭にかけてCOVID19の急激な増加を受け、特に東京都における公園緑地の実地アンケートは難しい状況であった。2024年度についても、アンケートの実施を予定しているが、その解析や情報の整理についてはやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
都市の生物多様性に関する認知および認知が人間の便益に与える影響について、アンケートを用いた情報整理、解析により明らかにする。2年計画であったが2022年度に実施が難しかったため、2024年度にデータを収集し、解析を行う予定である。また、アンケートを実施する人員を増強する、データ解析をシステム化するなど作業の効率化が求められる。さらには、ウェブアンケートなども視野に入れ、効率化を図る必要があるかもしれない。都市域における植物の特性の進化については、さらなる課題を実施予定である。地上部の形質のみならず、地下部の形質、ならびに種子の発芽特性など、目に見えず直接的に調査が難しい生理生態的な適応進化についても検討を進める予定である。
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