研究課題/領域番号 |
20K20008
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
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研究機関 | 近畿大学 (2022) 白梅学園短期大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
宮崎 佑介 近畿大学, 農学部, 准教授 (10721631)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 遊漁 / 魚拓 / 釣り / 市民 / 博物館 / アオギス / 遊漁者 / 生物多様性情報 / Citizen Science / 魚類 / 絶滅危惧種 / 二次資料 / 種同定 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、遊漁者によって取得された生物多様性情報について科学的な活用を以下の要領によって試みる。 1.遊漁の関係者による魚種の同定能力について、再検証を可能とする資料(釣果写真・画像、剥製、魚拓等)に基づき科学的な評価を行なう。 2.情報雑誌、収集した写真・画像、剥製や魚拓等(再検証可能な資料)に基づき、主要な遊漁対象種・絶滅危惧種・外来種について確かな過去の分布情報を整理する。その後、時系列データに基づく統計解析をもとに生物資源量の変動や分布域の拡大・縮小過程の推定を行なう。 これらに基づき、市民により取得された未利用の過去の生物多様性情報を科学的に活用する上での効果的な方法論の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、つり情報社の協力を得て『隔週刊つり情報』の1992年以降の電子データをご提供いただけ、手元で作業できるようなデータ形式への変換作業を行った。また同社の会長と社長との協議をふまえ、資源動態の解析に適した魚種の抽出を行った。同定の精度の分析については、当時の分類との照らし合わせが必要になるが、色彩情報に乏しい白黒印刷の頁を除いたカラー頁を対象に進めることがよいという感触を得た。1992年以前のバックナンバーは冊子体でのみ存在するため、同社を訪問して作業を進めることで合意を得た。 過去の生物多様性情報としての魚拓については、新聞社の記事掲載を経て、100件以上の実物の提供を市民より賜ることができた。昨年度以前と同様に、これらの複写物の作製(電子化)と属性情報の整理をアルバイト雇用も活用して進めた。 遊漁船業への協力も仰ぎ、魚類分類学的な問題を孕む遊漁者による釣獲個体や情報の提供について、千葉県浦安市の船宿吉野屋さんを始めとする一部の店舗の理解が得られた。たとえば、分類学的問題が解決されていないハナダイ科スミツキハナダイ属魚類であるキイハナダイの帰属に関する研究にあたって、一部釣り人による提供個体が活用された。 手法確立の一環及び副次的であるものの重要な観点であると判断し、遊漁及び魚類に親しむ活動がもたらす普及教育への効果についても検討や分析を進めており、そのデータのとりまとめと論文化に向けた作業を進めた。市民データを活用した図鑑の監修、東京都レッドデータブックの評価選定にあたって市民によって提供された情報を活用を行い、それらの一部が公表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年4月に白梅学園短期大学保育科から近畿大学農学部環境管理学科へ移り、新しい授業コンテンツの作製等の未経験の業務に追われたこと、昨年度から継続している日本魚類学会の筆頭庶務幹事等の外部の業務が重なったことも重なり、エフォート率の確保が非常に困難であったため。また引っ越しの際に一部の文献が行方不明となり、配送業者か学内での紛失かが現在まで不明な状況であり、研究の遂行にあたって年度初めに支障がやや生じたため。コロナ禍の影響を大きく受けた前年度までの遅れを引きずる形となった。
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今後の研究の推進方策 |
アルバイト雇用による作業をより一層進め、過去の魚拓情報と釣り雑誌のバックナンバーの情報整理を完了させる。これらの過去の生物多様性データを解析し、資源量動態の推定や同定制度の時系列的な変化を捉える。一部については学会発表だけではなく、論文化を進める。
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