研究課題/領域番号 |
20K20011
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
佐藤 允昭 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(神栖), 主任研究員 (10805865)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 生態系サービス / 温暖化 / 魚類 / サンゴ礁 / 岩礁 / 気候変動 / サンゴ礁魚類 / 漁業 / 観光 |
研究開始時の研究の概要 |
熱帯から温帯にかけて魚類相の種数の緯度勾配がみられ、各緯度帯ではその魚類相に対応した多様な生態系サービスがある。しかし、近年の温暖化に伴い、熱帯域では熱帯種の減少による生態系サービスの減少が、温帯域では温帯種の減少と熱帯種の移入によるサービスの質の変化が予想される。本研究では既存データの各魚種の密度と生態系サービスにおける人気度ランクを乗じて、フィリピンから日本のサンゴ群集域において漁業、観賞、 ダイビングといった魚類生態系サービスの供給可能量を算出し、緯度勾配を求める。さらに既存データと現在の野外調査の結果を比較し、過去10~15年間の変化を各緯度帯で明らかにする。
|
研究成果の概要 |
海水温上昇が進む黒潮流域のフィリピンから高知の沿岸において、サンゴ群落の魚類が提供する水産物、鑑賞魚、ダイビングの生態系サービスの供給可能量を算出し、その緯度勾配を検証した。水産物の価値は熱帯と亜熱帯にピークがみられ、鑑賞魚とダイビングの価値は高緯度ほど低くなる傾向がみられた。さらに、琉球列島と高知において、過去10~15年間の魚類相と生態系サービスの変化を調べたところ、生態系サービスの変化は一部のみであったが、サンゴ食魚類はサンゴの白化により八重山と高知で減少し、植食魚はサンゴ被度と関係なくすべての地域で増加していることが判明し、温暖化による直接・間接的な魚類への影響が示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では黒潮流域の熱帯から温帯の広範囲で複数の魚類生態系サービスの供給可能量を示し、サービスのホットスポットを把握することができた。また、生態系サービスは魚類の種多様性が高いほど高くなり、生物多様性の保全が各サービスの価値を高く保つ上で重要であることが示された。これらの成果は、生態系サービスの保全や持続的利用を軸とした保護区の配置や海域管理へ活用されることが期待される。加えて、過去10~15年間の琉球列島及び高知において植食魚の増加とサンゴ白化によるサンゴ食魚の減少がみられ、温暖化に伴う我が国沿岸域の魚類相の変化を示唆する証拠が得られた。
|