研究課題/領域番号 |
20K20021
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分64060:環境政策および環境配慮型社会関連
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研究機関 | 岩手大学 (2022) 長野大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
吉村 武洋 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (20754857)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 森林環境税 / 地方財政 / 生態系サービス支払 / PES / 生態系サービス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、地方政府による生態系サービスへの支払(PES)の導入が、生態系サービス(ES)供給の強化につながったのか、森林環境税(森林税)を事例に明らかにすることにある。森林が適切に管理されることで、様々なESが供給される。しかしながら、各種のES供給に対価が支払われてきたのは、森林から搬出される木材が中心で、その他の多くのESは支払いなく享受されてきた。そこで、林業支援や森林整備に必要となる財源調達等を目的に、森林税が全国の府県などで導入されてきた。森林税は、森林に関わるES供給に対する支払い(PES)の一例と解釈できる。本研究では、税導入府県の関係データを独自に集計し、森林に関わるES供給を総合的に検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は、地方政府による森林環境税(以下、森林税)の導入によって、森林・林業に関わる財政構造はどのように変化したのか、明らかにすることを目的としている。 前年度までに収集・整理したデータを基礎としつつ、本年度は、①石川県・富山県の分析の公表、②長野県の追加的データ収集・整理と公表、を中心に行った。 まず①については、同時期に同様の課税方式で導入された石川県と富山県の森林税を主たる分析対象として、税導入後に森林・林業関係の支出が増加したのかを、税導入2年前の2005年度から第3期4年目の2020年度までを分析期間として検証した論文を公表した。主な結果として、関係経費の総額や事業区分別の支出・財源を整理することで、総支出額は減少した一方,税導入の主目的であった造林関係の支出は増加し,財源として森林税が寄与していた.他方で,一般財源の利用が造林関係を含め減少しており,財源調達の効果は部分的に相殺される結果となった。 次に②については、2022年度までの長野県のデータを収集・整理し、前年度までに収集したデータと接続した。主な結果として、①の分析結果と共通する傾向を見出すことができた。さらに、長野県の第3期の森林税課税期間が2022年度で終了することから、検証過程の情報収集も行うことができた。これらの成果は関係学会で報告し、有益なコメントを得ることができたほか、大学の紀要論文で公表した。今後、論文で言及できなかった不足点を補ったうえで、関係学会での報告や、別稿としての公表をする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究を進めるうえでは、都道府県の森林・林業に関わる網羅的かつ詳細なデータの入手が重要となるが、これらの公表方法は、自治体ごとに異なっており、ヒアリングに加え、現地の資料室等での情報収集が不可欠となる。しかし、新型コロナウィルス感染症対応に伴い、現地訪問の自粛等が求められたことや、所属機関変更への対応が生じ、研究当初に想定していた進捗状況まで追い付けていない。
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今後の研究の推進方策 |
所属機関の変更に伴い、当初予定していた分析対象の近隣地を研究拠点とできたことを生かし、本格的な分析に着手する。引き続き、現地の行政担当者や図書室などと連携を深めていき、資料収集を円滑に進める。
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