研究課題/領域番号 |
20K20035
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 金沢大学 (2021-2023) 富山県立大学 (2020) |
研究代表者 |
松本 京子 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 連携研究員 (20774201)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 気候変動適応策 / 地域コミュニティ / タイ / レジリエンス / 防災 / リスク認知 / 指標開発 / ステークホルダー |
研究開始時の研究の概要 |
気候変動の進行により発生しうる極端現象に対して,被害を極力抑え,乗り越え復活するレジリエンスの向上には,地域の実情に合わせて,地域レベルの関係者間の連携が必須である。なかでも多様な価値を持つ海岸空間では,各ステークホルダーの役割や責任,災害リスク認知が異なるにもかかわらず,意思決定者間のコミュニケーション不足が問題となっている。 本研究では自然災害の脆弱性の高いタイ沿岸部の地域コミュニティを対象とし,地域の災害レジリエンスの向上に向けて,各ステークホルダーの災害リスク認知評価と地域のレジリエンス評価指標の開発を行い,地域レベルでのレジリエンスアクションの優先順位の決定に資する研究を実施する。
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研究実績の概要 |
地域レベルでの災害リスク認知を評価するため,沿岸部における地域住民を対象としたアンケートを実施し,分析を進めた。これまでのところ,災害リスク認知は同じ地域の住民であっても回答者により異なり,ほとんどの災害をリスクと認識していない地域住民がいる一方で,集中豪雨や台風をリスクと認識している地域住民もいることがわかった。アンケート調査は具体的にはタイ国ソンクラー県沿岸部に位置する1つの海岸に隣接する3つの村の320世帯を対象に行い,調査項目として地域の海岸利用と価値意識,災害経験とリスク認知,コミュニティ活動への参加頻度及び基本属性を設定した。 各対象村の特徴は,A村は比較的人口が少なく,農家など海岸と直接関連のない職業についている人が多く,B村は人口密度が高く,住居が海岸に近く,日常的に海岸へ行く頻度が高い人の割合が3村の中で最も多く,サービス業を営む人が多い。C村は住居が海岸に面しておらず,住民が自主的に海岸線のモニタリング調査を継続して実施しており,海岸管理に関心の高い一部の住民がいることが特徴として挙げられる。分析の結果,地域の海岸の価値意識は,観光により得られる価値を認識していると回答した割合が3村とも高く,他にはレジャーなどにより得られる価値を感じているのはA村が他の2村と比べると高い結果となった。B村では海岸は漁場かつ仕事場であり危険であると感じていると回答した割合が高い結果となった。一方,身近に生き物が豊富にいることを魅力的だと思うかどうかについてB村は何とも思わないと回答した人の割合が高かった。その他,理想とする海岸や災害経験,コミュニティ活動への参加頻度など,他の項目についても災害リスク認知との差異を生じる要因となっているかどうか詳細な分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度及び3年度はCovid-19の影響による海外渡航制限で現地調査を実施することができなかった。渡航制限が緩和された令和4年度から本格的な現地調査を開始し,必要なデータを収集した。令和5年度には現地調査で得られたデータ入力と分析作業を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
アンケート調査により収集したデータ入力及び分析を進め,災害リスク認知の差異を生じさせる要因を明らかにし,国際会議・国際共著論文での発表を目指し研究成果の発信に注力する。
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