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現代エジプトの家族法の変化と運用の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K20045
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分80010:地域研究関連
研究機関高千穂大学

研究代表者

竹村 和朗  高千穂大学, 人間科学部, 准教授 (60782654)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワード家族法 / 身分法 / 家族裁判所 / イスラーム法 / エジプト / 刑法 / 刑事裁判所 / 法律 / 憲法 / 議会 / 相続 / 生前贈与 / 契約書 / 家族 / 法 / 裁判所 / アラビア語
研究開始時の研究の概要

本研究は、現代エジプトの家族法について、法令の歴史的変化と裁判における実際の運用という2点から研究を進める。エジプトの家族法は、イスラーム法の規定にもとづき国会で作られた制定法で、社会の変化に応じて法改正がなされてきた。本研究では、現地資料にもとづき、家族法の法改正の経緯や社会的論議、国際人権規範との関係を明らかにする。また、エジプト社会においても、家族に関わる争いは、当事者同士の話し合いだけでなく、裁判所を通じた解決が模索されている。本研究では、家族をめぐる裁判の実態や裁判所の役割を現地資料や聞き取りから明らかにし、家族法の運用状況を実証的に論じる。

研究実績の概要

本研究の最終年度(ただし1年延長の申請・承認済み)にあたる2023年度には、「家族法の変化と運用」について、おもに2つの側面から研究を進めた。
(1)身分法の包括改正案は、2021年1月にエジプト議会(下院)に提出され審議されたが、さまざまな意見が出て一旦棚上げされた。2022年5月に大統領が再度の法案作成を呼びかけたため、司法省内でワーキンググループが発足し、検討作業が始められた。2023年1月には途中経過報告も報道されている。論文「「6月30日革命」体制におけるアズハルの独立と統制――新身分法制定をめぐって」では、この動きの経緯を追いかけるとともに、論議の裏で問題になっていた大統領と宗教教育機関アズハルとの駆け引きと政教関係を論じた。
(2)身分法規定の実際的な運用を知る手がかりとして、夫婦の離婚の際に用いられることのある夫が妻に帰宅を促す書面(「順従の催告」)と、妻の家財道具リスト(「婚姻の動産目録」)を用いた夫に対する刑事告訴の手続きに着目し、論文「婚姻の動産目録- エジプトのムスリム家族法と女性を守る慣習法的仕組み - 」にまとめた。「順従の催告」は身分法にもとづき家族裁判所を通じて実施され、これが妻によって拒否されると離婚調停に進むが、その一方で「婚姻の動産目録」にもとづく訴えは刑事裁判所で受理され、夫にしばしば即時の判決(最大で拘留刑3年)が言い渡されることがある。これら2つの手続きが絡み合いながら、裁判内・外の交渉を含め、離婚協議が進められることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度には、(他科研による助成を受け)8月と2月に一度ずつエジプトに行き、追跡調査と資料収集を行うことができた。過年度に行った調査にもとづく論文を2篇発表した。本研究課題はエジプトの法律(アラビア語)と深く関わるが、その関連で参加している弁護士らの研究部会がエジプト民法典のアラビア語からの全訳を出版し、その編纂作業に加わった。また、その他関連する研究会でのコメント発表を通じて、法制度の内容・運用の理解を深めることができた。

今後の研究の推進方策

本研究課題は、2023年度を最終年度としていたが、コロナ禍による調査実施の遅延が生じたため、研究期間の1年延長を申請し、すでに承認を受けている。昨年来中東の一部で政治的緊張が高まっているが情勢を注視しつつ、2024年度にもエジプトに渡航し、家族法の運用と法改正に関する資料収集・調査を継続するとともに、本研究課題の全体をまとめる作業を進めていく。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (26件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (9件) (うちオープンアクセス 7件、 査読あり 5件) 学会発表 (11件) 図書 (4件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 婚姻の動産目録- エジプトのムスリム家族法と女性を守る慣習法的仕組み -2024

    • 著者名/発表者名
      竹村和朗
    • 雑誌名

      高千穂論叢

      巻: 58(3/4) ページ: 95-128

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「6月30日革命」体制におけるアズハルの独立と統制――新身分法制定をめぐって2023

    • 著者名/発表者名
      竹村和朗
    • 雑誌名

      中東研究

      巻: 547 ページ: 29-41

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 成立しなかった法案―エジプトの2021年身分法改正論議と法案全訳(上)―2022

    • 著者名/発表者名
      竹村和朗
    • 雑誌名

      高千穂論叢

      巻: 57(1) ページ: 69-142

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 成立しなかった法案―エジプトの2021年身分法改正論議と法案全訳(下)―2022

    • 著者名/発表者名
      竹村和朗
    • 雑誌名

      高千穂論叢

      巻: 57(2) ページ: 241-302

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] エジプト憲法における国家と宗教――2014年憲法の前文の検討を中心に――2022

    • 著者名/発表者名
      竹村和朗
    • 雑誌名

      思想

      巻: 1175 ページ: 36-58

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 八木久美子「神の嘉する結婚――イスラムの規範と現代社会』東京外国語大学出版会 2020年 233頁2022

    • 著者名/発表者名
      竹村和朗
    • 雑誌名

      イスラーム世界研究

      巻: 15 ページ: 328-336

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] エジプト2014 年憲法の読解:2019 年4 月の憲法改正から2021

    • 著者名/発表者名
      竹村和朗
    • 雑誌名

      アジア・アフリカ言語文化研究

      巻: 101 ページ: 19-140

    • DOI

      10.15026/100087

    • NAID

      120007003694

    • ISSN
      2436-911X
    • URL

      https://tufs.repo.nii.ac.jp/records/2179

    • 年月日
      2021-03-31
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] セクシュアル・ハラスメントの厳罰化―2021年8月のエジプト刑法改正の内容と背景―2021

    • 著者名/発表者名
      竹村和朗
    • 雑誌名

      高千穂論叢

      巻: 56(3) ページ: 95-118

    • NAID

      120007174693

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ワクフに関するエジプト最高憲法裁判所 2008年違憲判決の解題および全訳2020

    • 著者名/発表者名
      竹村 和朗
    • 雑誌名

      アジア経済

      巻: 61 号: 4 ページ: 32-51

    • DOI

      10.24765/ajiakeizai.61.4_32

    • NAID

      130007966274

    • ISSN
      0002-2942, 2434-0537
    • 年月日
      2020-12-15
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 大河原発表「家族復元とシャリーア法廷史料」へのコメント2023

    • 著者名/発表者名
      竹村和朗
    • 学会等名
      第21回近代中央ユーラシア比較法制度史研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 出川報告へのコメント2023

    • 著者名/発表者名
      竹村和朗
    • 学会等名
      第20回近代中央ユーラシア比較法制度史研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Comments with Some Legal Texts and Translations2023

    • 著者名/発表者名
      Kazuaki Takemura
    • 学会等名
      Seminar on Land Tenure, Inheritance, and Gender in Middle East
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 現代エジプトの身分法を研究する2023

    • 著者名/発表者名
      竹村和朗
    • 学会等名
      科研費基盤研究(A) 「イスラーム・ジェンダー学と現代的課題に関する応用的・実践的研究」(代表:長沢栄治) おとな研
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 「離婚」裁判所の行方:エジプトの2021年身分法改正論議から2022

    • 著者名/発表者名
      竹村和朗
    • 学会等名
      日本中東学会 第38回年次大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 討論ディスカサント2021

    • 著者名/発表者名
      竹村和朗
    • 学会等名
      第6回「中央ユーラシアのムスリムの家族・規範」研究会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] コメント2021

    • 著者名/発表者名
      竹村和朗
    • 学会等名
      公開シンポジウム「女性の財産権・相続をめぐる比較ジェンダー史」
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] Dr.ハニア発表への説明とコメント2021

    • 著者名/発表者名
      竹村和朗
    • 学会等名
      公開ウェビナー「エジプトにおける女性のエンパワーメント:取り組みと課題」
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 生前贈与の意味と意義:現代エジプトの事例から考える2020

    • 著者名/発表者名
      竹村和朗
    • 学会等名
      第36回日本中東学会年次大会特別研究集会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] “相続システム”の現状:エジプトの生前贈与の事例から2020

    • 著者名/発表者名
      竹村和朗
    • 学会等名
      第3回「中央ユーラシアのムスリムと家族・規範」研究会(2020年度京都大学東南アジア地域研究研究所CIRASセンター共同研究 「中央ユーラシアおよび中東ムスリムの家族・ジェンダーをめぐる規範」)
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 契約書の裏に書かれた土地譲渡:現代エジプトの相続の一事例2020

    • 著者名/発表者名
      竹村和朗
    • 学会等名
      第15回近代中央ユーラシア比較法制度史研究会(科研費基盤研究(B)「近代中央アジアのムスリム家族とイスラーム法の社会史的研究」(18H00706、研究代表者:磯貝健一))
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] エジプト民法典2023

    • 著者名/発表者名
      第一東京弁護士会総合法律研究所現代中近東法研究部会(共訳)
    • 総ページ数
      475
    • 出版者
      第一法規
    • ISBN
      9784474092877
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] うつりゆく家族2023

    • 著者名/発表者名
      長沢栄治監修、竹村和朗編著
    • 総ページ数
      280
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      9784750355658
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] フィールド経験からの語り(執筆担当:第15章「フィールドワークの終わり――あるいは、私がバドル郡に行く理由」)2021

    • 著者名/発表者名
      長沢栄治、鳥山純子
    • 総ページ数
      252
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      9784750352190
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 『アジアの法整備支援叢書:多様な法世界における法整備支援』(分担執筆;竹村和朗第III部第2章「憲法とイスラーム法:エジプト憲法におけるシャリーア規定を中心に」)2021

    • 著者名/発表者名
      鮎京正訓, 島田弦, 桑原尚子編
    • 総ページ数
      591
    • 出版者
      旬報社
    • ISBN
      9784845116737
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [備考] 《総説》 エジプトという国

    • URL

      https://www.ritsumei.ac.jp/research/aji/area_map/egypt/country/

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] エジプト21世紀年表  1999~2022年

    • URL

      https://www.ritsumei.ac.jp/research/aji/area_map/egypt/timeline/

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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