研究課題/領域番号 |
20K20049
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 明治学院大学 (2021-2023) 立命館大学 (2020) |
研究代表者 |
井手上 和代 明治学院大学, 国際学部, 講師 (00838435)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 中小零細企業 / モバイルマネー / インフォーマルセクター / 企業の資金調達 / 製造業 / M-Pesa / 金融包摂 / ケニア / アフリカ / 金属加工 / 企業者能力 / インフォーマル / ものづくり / 長期資金 / 零細企業 / 資金調達 / モーリシャス / 情報通信技術 / デジタル金融 / 生産形態 / 金融 |
研究開始時の研究の概要 |
従来、アフリカでは既存の金融仲介サービスが広範に浸透しにくく、そのことは企業が発展する上での障害として捉えられてきた。しかし、近年、ケニアなどの一部のアフリカ地域において、情報通信技術(ICT)を用いた金融サービスが急速な広まりをみせており、これまでのアフリカにおける信用制約の問題を緩和させる効果が期待されている。本研究は、サハラ以南アフリカにおける情報通信技術を用いた金融の発展に着目しつつ、製造業をけん引するインフォーマルな中小零細企業の資金調達構造と在来金融の変容について解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、サハラ以南アフリカにおける情報通信技術(ICT)を用いた金融の発展に着目し、製造業をけん引するインフォーマルな中小零細企業の資金調達と在来金融の変容について解明することを目的としている。 本研究代表者は、繊維・縫製業を中心とした工業化を達成し産業の多角化を実現したモーリシャスを事例に、工業化過程における地場企業の重要性について検討をしてきた。産業の多角化を喫緊の課題とする他のアフリカ諸国において、地場企業が発展することは重要であるものの、資金調達の難しさがアフリカ企業の成長を阻害していると指摘されてきた。これを踏まえ、本研究はICTを用いた新しい金融サービスが進展しているケニアを対象とし、中小零細企業の資金調達および在来金融の変容について検討を行うことを目的としている。
2020年度から2022年度までの研究を通じて、ICTを用いた新しい金融はケニアのインフォーマルな中小零細企業の金融取引のあり方を変えつつあるものの、企業が成長するために必要とされる中長期の資金需要には応えてはいないことが明らかとなった。また、新しい金融の進展は、在来のインフォーマル金融からフォーマル金融へのシフトを促進し、アフリカにおける金融包摂を進めると期待されているが、インフォーマル金融はアフリカの人々にとって重要な貯蓄・借入の手段であり続けている。すなわち、新しい金融の出現により在来金融が入れ替わるというより、その両方が併存している状況にある。
以上を踏まえて、2023年度は研究成果の発表に重点を置いた。研究成果の一部を(共著)『アフリカ経済開発論』(ミネルヴァ書房、2024年出版予定)、紀要論文に公表した。また、研究成果の社会への還元として、アフリカ各国で投資促進や環境整備を担う行政官向けの研修(JICA実施)の講師を務め、研究成果の一部を講義の中で紹介した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究がスタートした2020年度は、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて現地調査が実施できなかった。そのため、本研究の計画に大幅な遅れが生じることとなった。
2022年度は最終年度として研究成果の公表を予定していたが、上記の理由により当初の計画通りに進めることができなかった。そのため、2023年度は調査・分析と同時進行で研究成果をとりまとめ、公表することに注力した。その結果、10月に研究成果を紀要論文として公表し、また、研究代表者による編者一冊を2024年度に刊行することが確実となっている。これに加えて、2023年度は研究成果の一部を国際学術雑誌へ投稿する予定であった。しかしながら、研究代表者の出産・育児休業の取得(2023年度後期~)により、研究成果を国際学術雑誌へ公表するための準備に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
すでに述べたように、2023年度は調査・分析と同時進行で研究成果をとりまとめたため、研究成果の公表の目途はついている。したがって、2024年度を本研究課題の最終年度として、国際学術雑誌へ研究の成果を公表することに注力する。
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