研究課題/領域番号 |
20K20054
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田 暁潔 筑波大学, 体育系, 特別研究員 (60806983)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 牧畜民マサイ / 野生動物観 / 子ども・若者 / 日常実践 / 学校教育 / 野生動物観光 / 知識の生成 / 子どもと若者 |
研究開始時の研究の概要 |
東アフリカのサバンナにおける生物多様性の議論のなかで、牧畜民マサイは野生動物に関する多様な経験と知恵を持つ存在として注目されている一方、従来の野生動物観の生成や継承が危ぶまれている。その知識システムを日常実践の側面から実証的に考察するため、本研究は、近代教育や観光開発などの変化を経験している子どもと若者を対象に、その野生動物観の生成を日常実践から明らかにすることを目的とする。そのため、現代マサイ社会における子どもと若者が、家庭や学校など異なる社会的状況において、野生動物とどのような関係をもってきたのか、ライフヒストリーや参与観察から明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、現代マサイ社会における子どもと若者が、家庭や学校など異なる社会的状況において、野生動物とどのような関係をもってきたのか、ライフヒストリーや参与観察から明らかにする。具体的に、ケニア南部のカジアド県の、三つの国立公園と隣接する地域で暮らすマサイを対象に、子ども・若者と野生動物とのかかわり、およびそれらの経験からなるマサイの野生動物観の日常実践について、以下の三点の課題に着目する:(1)各生活空間(家・学校・観光地を含む非居住区)における野生動物の捉え方、(2)子どもと若者が持つ野生動物とかかわるこれまでの経験(学校経験、放牧経験など)、(3)各生活空間での、子ども・若者と野生動物のかかわりの実態。 2020年度の研究は、コロナ感染症の影響を受けて、フィールド調査ができなかった。そのため、予定だった課題(1)を中心にした調査を文献調査へ変更し、それを実施しながら、野生動物と関連するマサイの昔話を、通信機器を利用した遠距離の聞き取り調査によってデータ収集を試した。 また、若者と野生動物の関係について、特にマサイのライオン狩りと関連づけられてきたマサイの“優れた身体性”に着目して、マサイがどのように外部者によってイメージ作られてきたのかについて、「日本スポーツ人類学会」、「生態人類学会」で発表した。実際の生活における若者とライオンの関わりを、野生動物による“ケガ(傷の経験)”から分析し、「アフリカ学会」で発表した。 以上のほか、これまでに収集できたマサイの子ども期の遊び・仕事を整理して、その中で野生動物と関連するものが多くあることがわかった。遊びの種類別に整理した遊びの論文は「日本スポーツ人類學」へ投稿した。その論考をベースにして、現在、子ども期の遊びから生成されるマサイと野生動物の多様な関わりの分析を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症の影響を受けて、予定したフィールド調査の実施、および国際学術大会の参加ができなかった。代わりに、現地の人々の協力を得て、通信機器を用いた遠距離の聞き取り調査を行い、試行錯誤しているが、電波状況や時差などの制限によって、連絡がスムーズに取れなかったり、取れたデータが正しく日本まで送れなかったりして、多くの課題が出た。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、昨年度にすでに整理しているデータに基づいて、「傷の記憶からみる若者とライオンの関わり」、「昔話とマサイの野生動物観」の二つのテーマに関する学術論文の作成に努める。 また、コロナ感染症の蔓延状況がなかなか改善されていない状況の中、フィールド調査ができない状況がしばらく継続してしまうことが想定できる。そのため、昨年度、試行錯誤してきた遠距離の聞き取り調査の課題と向き合いながら、遠距離による調査地の人々との交流の可能性をさらに探っていく予定である。
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