研究課題/領域番号 |
20K20070
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
黒田 彩加 立命館大学, 立命館アジア・日本研究機構, 准教授 (90816183)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 中東地域研究 / イスラーム思想研究 / イスラーム政治思想 / 穏健派と過激派 / アラブの春 / ムスリム知識人 / シャリーアの目的論 / 現代イスラーム思想 / イスラーム思想 / イスラーム主義 / イスラームとジェンダー / イスラームと民主主義 / イスラーム国家 / シャリーア / エジプト / イスラーム中道派 / イスラーム改革運動 / イスラーム政治 / 民主主義 / 知識人 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、アラブ諸国や欧米諸国で活動している、中道・穏健派のイスラーム勢力に着目し、アラブの民主化失敗以降の、彼らの政治思想や社会への提言を、過激派との対照において解明することである。
世界各地での急進派思想の蔓延、イスラーム主義運動の挫折と独裁政権の復活など、宗教・政治・社会の関係をめぐる新たな問題群に対する、ムスリム知識人や活動家の思想的営為を、原典研究とフィールドワークを通じて探究する。
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研究成果の概要 |
本研究では、2010年代を通じてアラブ諸国の民主化が挫折し、権威主義体制の復活や紛争地における過激派の勃興、アラブ域外を含む各国での宗教的不寛容や急進派思想の蔓延などの問題が起こる中で、各地のムスリム知識人がどのような政治思想や改革思想を提唱しているのか探究することを目的としていた。研究の結果、2010年代中盤以降、イスラーム法の施行を目指すイスラーム主義とは異なる位相で、イスラーム法が保護しようとしている道徳的価値に重点を置き、ヒューマニズムを志向する政治思想という新展開がみられること、イスラーム的諸価値と近代的諸価値の融合をめざす思想潮流の活動が未だ盛んであることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、アラブにおける宗教と政治をめぐる思想研究(とりわけイスラーム主義研究)が行き詰まりを見せる中で、2010年代中盤以降においても新たな政治思想が展開していることを明らかにしたもので、政治思想研究に新たな知見を加えることができた。とりわけ、イスラーム法の施行を大きな目標とするイスラーム主義とは異なり、イスラーム法が重視する道徳的価値の実現という視座から政治や社会改革を提言する、ヒューマニズムを志向する政治哲学という新展開がみられることが明らかになった。イスラームと多文化共生が重要な課題として位置づけられる現代世界において、これは課題解決につながりうる思想として位置づけられるものである。
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