研究課題/領域番号 |
20K20085
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
菅沼 明正 九州産業大学, 地域共創学部, 講師 (00868672)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 日本国有鉄道 / 鉄道 / デジタル化 / 未公開資料 / 旅行史 / 観光史 / 鉄道史 / ツーリズム / 団体旅行 / 臨時列車 / 資料発掘 / 観光旅行 / 国鉄 / 旅客誘致 / 近世の旅 / JR / 国有鉄道 / 地域社会 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近代日本のツーリズムとくに宿泊旅行の量的拡大を、歴史社会学の手法を通じ て、実証的に明らかにする。具体的には、鉄道会社と地域社会の両側面からのアプローチにより、これまでブラックボックスとなっていた宿泊旅行の量的拡大の実相の解明を目指す。昭和恐慌以後の国鉄の団体旅行の誘致内容と誘致対象の研究という形で、「国鉄側の資料」、「宗教団体側の資料」、「地域社会側の資料」を調査・検証を進めていく。
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研究実績の概要 |
一昨秋、九州旅客鉄道株式会社より貸出を受けた未公開資料、大正期から昭和30年までの日本国有鉄道・門司鉄道局『局報(甲・乙)』(以下、門鉄文書)計316冊を研究利用すべく、立命館ARCからデジタル化の手法を学んだ。その知見をもとに学生アルバイトの協力のもとデジタル化を試行錯誤し、撮影設備を用意し、局報(乙)の撮影を済ませた。資料のデジタル化には、撮影、画像検品、再撮影、デジタル・アーカイブ接続の工程があるが、乙資料群の再撮影までを終わらせることができた。研究論文のような実績ではないものの、資料のデジタル化方法と資料保存の方法を研究し実践した。酸性紙の劣化が顕著であることから研究利用の前段階としてデジタル保存が必要ゆえに、このような作業を行った。資料の永久保存が可能となるため、この作業の意義は小さくないと思われる。 また、門司鉄道局『局報(甲・乙)』は未公開資料であることから、史学系を中心とした複数の学会(鉄道史学会例会、メディア史研究会例会、立命館ARC成果報告会)にて資料紹介およびデジタル化の報告を行った。さらに、資料を活用した研究にも着手し報告も行った。本資料は、大きくは労働関係、運転関係、営業関係、技術関係について詳細な記載があり、労働史・生活史・観光史・産業史・軍事史・経営史・技術史など多くの分野の研究を発展させる、きわめて高い史料価値を持つ資料だが、資料活用の第一歩として、鉄道広告の研究に着手した。本科研の研究計画からは少し逸れる研究内容だが、団体旅行や団体参拝の募集など、鉄道広告の内容は戦前期日本の旅行の大衆化を検証する上で無視することはできない。 次年度は、鉄道史学会大会で共通論題報告を行うことが決まり、資料紹介ならびに資料を活用した研究が進展することが見込まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、未公開資料の「発掘」は予想していなかった。資料発掘は歴史学分野において大きな成果である。また、資料量が膨大かつ劣化が顕著であることから、資料のデジタル化を進める決断をし、今年度はさまざまな模索をくり返した。立命館大アート・リサーチセンターの赤間亮先生にデジタル化のノウハウを伝授していただき、その手法をもって資料のデジタル化に着手した。全体の約半分の撮影が終わり、研究利用の準備が整いつつある。この資料を用いた研究が可能となれば、当初の計画以上の成果を上げることができると思われる。少なくとも戦前期日本の旅行の大衆化については、大正期から戦後期までの団体輸送実績が把握できるため、実証的な形で検証可能である。 以上のことから、研究計画通りではないものの、計画以上の研究成果をあげており、その進展状況も良好であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
未公開資料の全体の半分のデジタル化は終了していないが、研究予算の関係で本科研で遂行することはできない。外部資金の獲得などを通じて、デジタル化が進められるよう模索している。 本科研の最終年度であることから、研究成果の公表に力を入れたい。本年度秋に鉄道史学会大会にて、本資料を活用した共通論題報告を行う予定である。その他、史学系雑誌での資料紹介の投稿や資料を活用した研究論文の投稿も考えている。
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