研究課題/領域番号 |
20K20089
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 多摩大学 |
研究代表者 |
田中 孝枝 多摩大学, グローバルスタディーズ学部, 准教授 (50751319)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ディザスターツーリズム / 東日本大震災 / オンラインツアー / 不確実性 / 防災 / 中国 / 語り部 / 自然災害遺産 / 日本 / 災害文化 / 地震 / 公共ツーリズム / 文化財 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、現代中国における災害遺産の保存と活用について考察することで、災害遺産をとおして地域固有の災害文化を学び、共有する公共ツーリズムのあり方を検討することを目的とする。そのために、中国の自然災害遺産のなかでも、特に地震によって生じた「地震遺跡」の保存・活用を、①文化財の保護、②ツーリズムによる活用、③防災教育の3つの観点から検討する。それぞれ、必要に応じて、文献研究、現地での関連資料の収集、行政関係者や観光業従事者、および観光客への聞き取り調査を実施する。調査は、中国四川省、河北省、新疆地震帯周辺を中心に実施する予定である。
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研究実績の概要 |
本研究は、新型コロナウイルス流行の影響を鑑み、調査研究の重点を中国から日本、特に東日本大震災後の震災遺構の保存とツーリズムの展開、およびそれらの中国との関係へと移すこととした。2022年度は、以下3点について文献研究、現地調査、オンライン調査を実施した。 ①日本におけるディザスターツーリズムの展開と海外への発信:東日本大震災後のディザスターツーリズムの展開について、関連情報の収集、文献研究、関係者へのインタビューを実施した。また、感染症や自然災害など多くのリスク/不確実性にさらされている観光ビジネスの動態について、これまでの研究成果をもとに「リスク/不確実性―「不確かさ」とともにある観光のダイナミズム」『基本概念から学ぶ観光人類学』pp.155-165(ナカニシヤ出版、書籍・分担執筆)としてまとめた。 ②中国から見た日本のディザスターツーリズムのもつ意味:①の調査と並行して、中国をはじめとする海外からの訪問者の状況、情報発信、震災後の変遷について関連情報の収集、文献研究、関係者へのインタビューを実施した。また、これまでの調査から、四川大地震後のディザスターツーリズムの展開を「国家のレジリエンス、地域社会のレジリエンス―中国・四川大地震後の復興とディザスター・ツーリズム」『文化遺産と防災のレッスン―レジリエントな観光のために』pp.77-88(新曜社、書籍・分担執筆)としてまとめた。 ③日本におけるディザスターツーリズムのオンラインでの展開:オンラインのツーリズム/プログラムについて文献研究、参与観察、関係者へのインタビューを実施した。「公共ツーリズム」の観点から、大学生とのプログラム参加、彼らへの聞き取りをとおして、オンラインツーリズムそのものの意味と可能性についても調査を行った。これまでの研究成果は、国際学会、国内研究会にて口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの流行により、当初の研究計画を見直す必要性に迫られたが、これまでの研究成果と関連づけながら、研究課題へのアプローチを位置づけなおすことができた。オンラインでの調査手法も模索しながら調査を進めているとともに、2022年度は日本国内での現地調査を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に引き続き、以下3点から関連情報の収集、文献研究、現地調査、オンライン調査を進めていく。 ①日本におけるディザスターツーリズムの展開と海外への発信:東日本大震災後のディザスターツーリズムの展開について、関連情報の収集、文献研究、関係者へのインタビューを進める。 ②中国から見た日本のディザスターツーリズムのもつ意味:中国をはじめとする海外からの訪問者の状況、情報発信、震災後の変遷について関連情報の収集、文献研究、関係者へのインタビューを行う。なお、これまでの調査から東北観光における台湾市場の重要性が浮かび上がってきた。台湾とは震災前から観光交流のある自治体が多く存在し、震災後も様々なかたちで交流を継続し、ポスト・コロナのインバウンドとしてまず台湾を挙げるケースが少なくない。また、中国における自然災害遺産の保存や観光での活用においては、台湾での実践が参考にされる側面もある。そのため、中国、日本の二者関係ではなく、台湾を含めた三者関係で状況を把握することが重要と考えられる。渡航制限、および調査の進捗状況に応じて、台湾、中国での現地調査を実施することを検討する。 ③日本におけるディザスターツーリズムのオンラインでの展開:オンラインのツーリズム・プログラムについて文献研究、参与観察、関係者へのインタビューを継続する。特に、全世界的に渡航制限が緩和され、ポスト・コロナの様相を帯び始めた観光現場において、オンラインツーリズムがいかに展開するかを調査する。 上記3点に加えて、ポスト・コロナの中国における観光産業、および日本のインバウンド観光の展開についても注視しながら、調査研究を進める。
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