研究課題/領域番号 |
20K20114
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
|
研究機関 | お茶の水女子大学 (2021-2022) 東北大学 (2020) |
研究代表者 |
藤山 真美子 お茶の水女子大学, 文理融合 AI・データサイエンスセンター, 准教授 (40638425)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | Singapore / Skyrise Greenery / 間接的便益 / 集約的な都市緑化空間 / Biophilic City |
研究開始時の研究の概要 |
近年、都市緑化空間に対して、環境改善効果だけでなく、エコシステムや生物多様性の強化、市民の福祉やアクティビティを創造するアメニティ効果、環境教育の普及など、多機能性・地域性・事業性を再認識し、「存在効果」と「利用効果」の両面を最大化した新たな発想が求められている。本研究では、その先進事例として、定性的観点を重視した緑化政策の歴史的形成過程を有するシンガポールを対象とし、ⅰ)複合的な都市機能を実現するための緑化建物における建築形態上の特徴、ⅱ)集約的都市構造において自然が持つ多様な便益を複合するための重層的な都市空間の特徴について明らかにし、都市緑化空間の最適化デザイン手法について検証する。
|
研究実績の概要 |
シンガポールの緑化空間は、環境配慮の目的や都市間競争への対応だけでなく、シンガポール国家を形づくる上で、市民のシビックプライド形成やコミュニティの醸成等の面で重要な役割を果たし、建国以来の重要な都市要素となっている。近年では、Covid-19の影響等もあり、より地域に根付いた緑化空間が希求されると共に、公団住宅では都市農業の実践なども活発に行われている。本研究では、同国における、定性的観点を含めた緑化政策プロセスと集約的都市緑化空間形態の関係性に着目し、建築・都市デザインの視点から空間形態的特徴を取り上げ、同国の緑化政策の特性を明らかにすることを目的としている。 2022年度は、主に1) 都市空間における緑化政策プロセスの展開の中で、Covid19や国際紛争による食糧危機等に際して推進が強化されている都市農業およびコミュニティガーデン等に対するプレイスメイキングの実践事例、 2) 都市緑化規定 (Landscaping for Urban Space and High-rises)、既存建物の緑化推進政策 (Skyrise Greenery Incentive Scheme)、市民の約8割が暮らす政府主導の公団住宅での環境景観評価(HDB Biophilic Town Framework)等の都市緑化政策に反映される都市型農業やコミュニティガーデン等に関連するガイドラインの記述に着目して文献調査を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者は、東北大学研究者海外派遣事業を活用した現地調査をベースに計画していたが、渡航制限および所属大学の異動から、当初計画が大きく変更となった。2022年度も渡航機会をつくることが難しい状況が続いたため、最終年度である2023年度にフィールド調査を集中して完了できるよう、計画の大幅な変更を行った。これまでに、シンガポール国立大学College of Design and Engineeringに相談の上、2023年度8月-11月に短期滞在研究者としての受け入れの了解を得た。この期間を使って、集中的にフィールド調査計画を執行し、本研究課題で予定していた計画を完了する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
2019年、シンガポール政府は、2030年までに食料自給率30%を目指す食料安全保障の国家戦略として「30by30」を打ち出した。食糧の多くを海外からの輸入に頼っているシンガポールでは、その直後に起きたパンデミックの影響によって食糧危機の議論が目前の事象として再燃し、「30by30」の目標は、より現実的な課題として広く認識されることとなった。このような状況は、本研究が対象とする緑化空間のプログラムにも大きく影響を与えていると考えられるため、「持続可能な社会実現に資する間接的便益創生に向けた都市緑化空間のデザイン手法」を検証する本研究計画の中に、都市農業の観点も含め、研究を継続する計画である。
|