研究課題/領域番号 |
20K20120
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
影山 友章 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 准教授 (90856486)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | プロダクトデザイン / 思考の余白 / 余白の許容量 / 不便益 / 不便害 / 余白への介入方法 / 余白とカスタマイズの違い / 余白と愛着 / 余白の大きさ / デザイン実践 / 美濃焼アクセサリー / 尾張仏具 / 在宅ワークプロダクト / UXデザイン / 新しいデザイン指標 |
研究開始時の研究の概要 |
モノのIoT化や、人工知能を搭載した製品やサービスの登場に見て取れるように、人々の生活は日々便利で快適なものへと変化している。一方、製品やサービスの電子化や自動化が進む中で、“ユーザー自身が考え、工夫するための余地”が減少しつつある。申請者はこの余地のことを「思考の余白」と命名し、この余白を適切に設計することが、無闇な利便性の追求だけにとらわれない、次世代のデザイン指針になると考える。 本研究では、UXデザインの技法を複合的に活用することでこれらの要素を整理し、デザインメソッド化する。そして、そのメソッドを活用したサンプルを作成し、評価検証することで、当メソッドの有効性を実証することを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では,製品を使用する際にユーザーが介入できる余地のことを「余白」と定義し,その余白を適切に設計することが,手間や労力を肯定的に捉える「不便益」をもたらすという仮説を立てた。そして,余白を設計した製品のデザイン実践と評価を通じて,それらの仮説を検証してきた。結果,これらのデザインメソッドにより創出されたデザイン提案が不便益をテーマにしたデザインコンペで複数回入賞を果たすなど,一定の成果を得られた。 「レトロブーム」や「丁寧な暮らし」のムーブメントは,過度な利便性追求の反動であると捉えることができる。本研究による新しい視点が,現代人に本質的に豊かな生活をもたらすことに繋がると期待できる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
手間や労力を肯定的に捉える「不便益」の考え方は,利便性の追求に変わる次世代の価値観として様々な分野で注目されている。しかし,不便益をもたらす製品やサービスを生み出すための方法論はまだ確立されているとは言えない現状である。本研究で確立した「思考の余白」を活用したデザインメソッドは,不便益設計論の一翼を担うことが期待される。また,不便益をもたらす事象を「製品側の余白の大きさ」と「ユーザー側の余白の許容量」の相互関係として捉える視点を確立したことにより,状況次第で不便“害”に変化してしまうという不便益の矛盾を解決する,適切なデザイン手法を生み出したと言える。
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