研究課題/領域番号 |
20K20143
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
村上 久 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 助教 (20755467)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 群れ / 歩行者 / 自己組織化 / 予期 / 注意 / 視覚 / 群集 / 創発 |
研究開始時の研究の概要 |
横断歩道において、対向する二つの歩行者の流れは、自然といくつかの列に分離されます。このような列形成は、人の群集におけるいわゆる自己組織化の典型例であり、外的な制御を必要とせず歩行者交通の効率化を促進させます。列が形成されるあいだ、歩行者は他者の運動を能動的に予期し自身の経路を探索することが我々の先行研究でわかりつつありますが、そのメカニズムや群集の組織化との関わりは明らかではありません。本研究ではスマホ歩きを導入した群集実験を行うことで予期を実験的に操作し、群集の組織化との関係を検証します。さらに実験結果に基づき、他者の未来の運動を推定しつつ経路探索を実現可能とする群集モデル構築を目指します。
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研究成果の概要 |
人の群集は、多種多様な要素が相互作用を介して自己組織化する集団現象の実例である。従来、歩行者の運動は物理的粒子群に着想を得た衝突回避モデルにより記述されてきたが、近年の様々な実験研究との不整合が明らかとなり、その信頼性に疑問が持たれている。これに対し我々の先行研究は、現実の歩行者は単に受動的な衝突回避でなく、むしろ互いの運動を予期し能動的に人混みの中で自らの経路を探索していることを示しつつあった。そこで本研究では予期の実験的操作としてスマホ歩きを取り入れた群集実験を行った結果、確かにこの予期の介入により集団の秩序形成が遅延し、全体としての流量が低下することが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年の画像解析技術の進歩から現実の群集を実験的に分析可能となった結果、従来モデルでは説明が困難な現象が複数見つかっている。本研究では特に、現実の歩行者は従来の距離に依存した物理的斥力ではなく、本質的に予期に基づくことを集団レベルの現象から明らかにした。本研究が明らかにした予期に基礎付けられた群集理論は、将来的に様々な混雑問題を解決し都市・交通インフラ設計を支援へする上で鍵となると考えられる。学術的側面としては、本研究が目的とする能動的な予期に基づく群集の理解は、車や物流の交通、群ロボット、集団意思決定モデルなどあらゆる集団現象に共通する自己組織化原理の解明につながると考えられる。
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