研究課題/領域番号 |
20K20164
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
太田 岳 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (30790571)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 内耳蝸牛 / 感覚上皮帯 / 有毛細胞 / 光コヒーレンストモグラフィー / 微小振動 / 内耳 / 光断層撮像 / ナノ振動 / 蝸牛 / 感覚上皮 / OCT |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類は、外界の音を内耳蝸牛で電気信号に変換し、脳でそれを処理する。聴覚の成立には、蝸牛内の感覚上皮帯に惹起されるナノ振動が必須である。この微小な動きの制御機構の解明を目的として、近年海外では光コヒーレンス断層撮像装置を技術拡張した“in vivo振動計測”がモルモット、スナネズミ等で進められている。しかし、マウスを用いた上皮帯の動態は今も十分に解明されていない。本研究では、マウスを対象として精密な検討を可能とする実験・解析プラットフォームの構築を計画する。計画の前半で計測・解析手法を確立し、その後、野生型マウスでのナノ振動計測を達成を通じて、遺伝子改変モデルへの展開を目指す。
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研究成果の概要 |
聴覚の末梢器官である内耳蝸牛の感覚上皮帯の光イメージングおよび振動計測手法を最適化することを通じ、マウスでの聴覚研究プラットフォームを確立することを目的とした。この動物は、約50 kHzまでの周波数を感受するため、光断層撮像法の改良によって高速振動をリアルタイムで捉える技術拡張を試みた。機器の性能は、生きた健康な聴覚を持つマウスおよび生後早期に難聴を呈するモデルマウスを用いて評価し、電気生理学的な実験で確かめられている報告から推定される振動動態と矛盾しない結果を得ることができた。本研究の実施により、今後遺伝子改変モデルマウスへと応用できる解析プラットフォームが創出された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在、国民の10人に1人以上が難聴であると言われている。超高齢化社会の到来やスマートフォンの普及により、今後患者の数はますます増加するものと予測される。難聴の多くは聴覚の末梢器官である内耳蝸牛の機能不全によるものと報告されているが、現在も確実な治療戦略がないことが社会的問題となっている。そこで本研究では内耳の仕組みをメカニカルな視点で明らかにしつつ、汎用性の高い実験動物であるマウスにおける計測手法の最適化によってアプローチした。本研究の実施により生理学的な基礎背景を整理するのみならず、難聴治療への基礎研究の歩みを進めることができたと考える。
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