研究課題/領域番号 |
20K20230
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
堀内 裕紀 順天堂大学, 大学院医学研究科, 准教授 (60867951)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 人工知能 / 深層学習技術 / 末梢血塗抹標本 / デジタル画像 / 細胞分類 / 異常コメント / 血液形態検査 / 人工知能(AI) / AI自動血球形態解析 / AI造血器腫瘍診断支援 / 骨髄像自動分析システム / 診断支援システム |
研究開始時の研究の概要 |
血液形態検査は未だ自動化や標準化が確立しておらず、熟練した技術を要し、専門の検査技師や診断医師の不足、偏在化が問題である。どこでも誰にでもより迅速に質の高い検査結果を提供するために、血液形態検査分野にも深層学習技術を用いた人工知能(AI)技術の導入が望まれる。 本研究では、今まで開発してきた末梢血の血球形態を自動で判別する分析システムをベースに、新たに血液疾患の最終診断に最も重要な骨髄像の自動分析システムを開発する。更にこれにより診断・治療支援に活用できる血液疾患自動診断支援システムの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
我々はAI深層学習技術を用いて末梢血AI血球形態自動分析システム(AI自動分析システム)を開発してきた。本研究では、このシステムを利用し、実際の日常検査標本においての細胞分類性能と異常細胞検出能を評価した。 方法:約100万細胞のデジタル画像を学習してAI自動分析システム(細胞分類と形態異常コメントを提示)を構築した。末梢血塗抹標本から血液像自動分析装置DI-60によりデジタル細胞画像を取得した。AI自動分析システムの評価には、日常検査で目視検査を施行した末梢血塗抹標本589検体(ALL 26、AML 52、Lymphoma 84、MDS 97、MPN 50、造血器腫瘍以外 66、正常検体214)から得られた139,378 画像を用いた。血液検査技師(3名)による評価との一致率を求めた。 結果:細胞分類能の一致率は全17分類で97.3%以上であった。異常コメントの一致率は、悪性リンパ腫群ではリンパ球異常コメント12種類のうち11種類が90%以上、MDS群では成熟好中球異常コメント16種類のうち12種類が90%以上であった。 検査室で異常細胞ありと判断された標本は118枚で、そのうち115枚(97.5%)は、AI自動分析システムが1細胞以上の『芽球』を検出した。AIで芽球が検出できなかった3標本は検査室でも『芽球』ではなく『形質細胞様細胞』として異常細胞が検出された標本であった。AI自動分析システムはこの3標本中2標本において「形質細胞様」というリンパ球異常コメントを付与していた。 AI自動分析システムを用いて細胞判別とともに異常コメントを使用することによって118標本中117標本(99.2%)の異常細胞を検出することができた。これより本システムは「標本単位」での異常検出に十分活用できる可能性が示唆され、来年度以降は偽陽性の軽減、多施設でのロバストネス評価も行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由は2点あり、1つはコロナ禍で研究が思うように勧められなかった時期があったこと。もう1点は評価をしていくにあたり、標本作成条件による違いなど、更に評価すべき事項が増えたこと。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までに、異常検体の検出能について、AIの見逃しはない。という点で良好の成績が得られたが、偽陽性がやや多いことは課題として表れた。そのため、偽陽性を軽減するための検討を進める。 また、当施設では細胞判別能については十分良好な成績が出たが、これを異なる標本作成条件などで行う他の施設でも同じ性能を発揮するか、ロバストネスの評価を多施設(当院の他2施設)で行う。
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