研究課題/領域番号 |
20K20269
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
井上 淳 東京電機大学, 工学部, 准教授 (20609284)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 運動解析 / 計測システム開発 / リハビリテーション / 運動錯覚 / 運動介入 / 杖歩行訓練 / 支援器具 / 動作計測 / 動作推定 / 歩行支援器具 / 評価指標構築 / ベイジアンネットワーク / 因果関係モデル / 下肢装具 / 筋活動推定 / 支援機器MAP / 人間支援 / 福祉機器 / 残存能力 / 人間の定量化 |
研究開始時の研究の概要 |
現在まで,定量的な動作解析の研究で用いられている手法では三次元運動解析器・床反力計等の大規模な装置が必要となり,福祉機器の評価の手法として臨床現場で使用することは困難であった.この問題に対し,本提案ではこれまで応募者が行ってきた,ベイジアンネットワークを用いた筋活動変化の原因推定を,福祉機器を用いた際の歩行動作時の身体全体の評価指標に発展的応用することで,同一の評価指標で評価を行うシステムの構築を目指す.これにより,今までの運動解析と異なり,臨床現場でも導入することができるような簡便な解析手法の構築を可能にする.
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研究実績の概要 |
2022年度は、手足の残存能力がそれぞれある程度存在する患者を対象とし、片麻痺患者が杖歩行訓練を行うための歩行器の開発を継続している。その中で、大きく分けて下記の3つの研究成果が得られた。 腱への振動刺激を与えることによって生まれる運動錯覚を用いて、歩行運動への介入が可能であることを明らかにした。現在まで、静止状態での運動錯覚を利用して人間の動作へ介入する研究は広く行われていたが、運動時の介入を取り扱う研究は多くない。本研究では、歩行時に足部関節周辺筋の腱への振動刺激を与えることで、歩幅を変えることに成功した。今後、この成果により、片麻痺で左右の歩幅が異なってしまう患者に対してフィードバックを与えることができると考えられる。 また、歩行中の加速度から、0.5歩行周期先までの移動速度を予測することが可能となった。これにより、歩行訓練機を動かす際に、ある時間の予測値が運動の中で大きく変動する場合には事前に異常を検知し、転倒やスリップなどのごく初期の段階、ないしはそれが高確率で起きると判断できる時点で予測し、装置を止めることが可能となった。 これと併せ、新たなセンサを開発し、歩行中の靴内や、杖を把持する手の平などにかかる圧力や剪断力の計測を可能とした。このセンサは0.5㎜径のワイヤからなり、円形形状等にすることによって、センサで計測する振動から機械学習的アプローチを用いて圧力や剪断力を推定する。なお、本センサは特許を出願し、今後の実用化に向けて研究を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
手足の残存能力がそれぞれある程度存在する患者を対象としていた杖歩行訓練機について、その対象患者拡大に向けた研究を進めることができた。 歩行中に振動錯覚を与えることで、歩幅への介入を対象者の無意識下で実施することができ、見守り無しでも安全かつ効果の高い歩行訓練に繋げることができると考えられる。 さらに、安全面で重要であった、異常動作の検出を、運動予測の手法を用いることで、早い段階、もしくは実際にその運動が開始する前の段階で実施することができるようになった。これは歩行動作が繰り返し動作であることから可能な手法ではあるが、歩行訓練の上では重要な研究成果である。これらの研究成果から、本年度の杖歩行訓練機に関する研究はおおむね計画通りに進展している。 その上で、研究開始時には想定していなかった新たなセンサを、偶然のひらめきとその後の膨大な実験により開発できたことから、今後はそのセンサを活かすことで、運動計測の効率を向上させることができると考えられる。 以上の成果から、現在までの進捗状況は当初の計画以上に進展が見られたものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は2023年度で最終年度を迎えるため、手や足の残存能力にあわせて利用できる歩行訓練機について、その対象の拡大を見込めるように、本年度で実機を完成させることを目指す。 具体的には、これまで個別に研究してきた、異常動作の検出、0.5歩行周期先の運動速度の予測、振動を用いた運動錯覚による歩行への介入等を統合し、一つの実機として評価するところまでを目指す。 また、新たに開発したセンサについては、運動計測関連だけに限っても応用範囲が広いことが想定されるため、様々な動作の計測への応用可能性について検討を行う。
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