研究課題/領域番号 |
20K20327
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補助金の研究課題番号 |
18H05306 (2018-2019)
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 (2020) 補助金 (2018-2019) |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
村田 泰輔 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 主任研究員 (00741109)
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研究分担者 |
関口 洋美 東海大学, ティーチングクオリフィケーションセンター, 准教授 (70435379)
西山 昭仁 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 客員研究員 (50528924)
西口 顕一 大分県立芸術文化短期大学, その他部局等, 准教授 (40580527)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
22,880千円 (直接経費: 17,600千円、間接経費: 5,280千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2018年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 防災・減災科学 / 災害考古学 / 災害科学 / 第四紀学 / 地質学 / 地理学 / 情報科学 / 防災 / 減災 / データベース |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1)災害痕跡情報の収集・整理を奈良県内約1万2千件の遺跡調査記録を中心に蓄積する「災害データベース」の作成、2)考古学、地質学の研究成果に基づいて「古地形図」と「被災分布図」を作成し、3)「被災分布図」をGIS型検索システムに適用し災害ごとの被災分布の蓄積・整理を進め、産業総合研究所や国土地理院等が提供する地盤地質や断層分布等の情報を導入して、災害の現象や発生履歴を様々な要素と空間的・時系列的に対比できるものを目指す。加えて災害履歴地図の開発にあたっては、被災状況の評価、提示方法について認知的側面も含め使用者へのアンケート調査等を行い、制作効果の検討も行っていく。
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研究実績の概要 |
2023年度の最も大きな研究実績は、本研究に目的に一つである考古資料を主体とした災害痕跡データベースの作成と、それを基盤とした「歴史災害痕跡データベース」の構築が、小規模ながらも完成し、一般公開(https://hde-gis.nabunken.go.jp/)が始まったことである。 このデータベースによる災害痕跡分布の「見える化」は、地震災害におけるこれまでに想定していなかった災害メカニズムを解く鍵になり得る可能性を示した。 その成果の一つとして、京都盆地西部を区切る東縁断層の南端部に分布する長岡京跡およびその周辺遺跡の事例が挙げられる。これらの遺跡は、桂川が形成した軟弱地盤による氾濫原低地に位置し、多くの地震痕跡が発掘調査に伴って発見されている。この地震痕跡の分布が、氾濫原に一様ではなく、特定の線状に分布する傾向を示した。これは地表付近における地震動の伝達は一様ではなく、これまでに検討されていなかった「地層表層部-深部」の応答性により災害メカニズムを反映したものであると推定される。この傾向は、今後の防災・減災活動への取り組みに一つの方向性を与える結果であろうと考えている。 他方、研究目的の一つとして、データベース表示方法の検証を上げてきた。2023年度も2022年度に引き続きサンプル画面を作成し、災害痕跡の表示マークの形状、色、大きさ等の視認性や理解性の検証を、アンケート調査に基づき進めた。2022年度の成果に基づき、分担者である西口氏に表示マークのデザイン研究を進めてもらい、その評価調査を分担者である関口氏に進めてもらった。2023年度の調査結果は、2022年度調査から想定されるものと異なる結果が示され、追加の調査が必要となった。そこで本研究を2024年度まで延長し、視認調査の研究を継続することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究目的の一つとした「データベース表示方法の検証」について、2022年度アンケート調査の成果を踏まえ、2023年度は災害痕跡の表示マークの形状、色、大きさ等のデザイン研究を分担者である西口氏が進め、その視認性や理解性の検証を分担者である関口氏が、サンプル画面を用いたアンケート調査によって進めた。 2022年度には、地図上でのマーカー視認性や、災害種類への認識・理解度は、主に「色調」が主体要素となるという成果が得られた。2023年度はその成果を踏まえ、地震、火山噴火、水害、副次的災害の表示マークを作成し、サンプル画面での検証実験を行った。 しかしその結果、災害種類の認識・理解度は色調の寄与率が高いが、地図上での視認性はマーカーの形状の寄与率が高い結果が新たに得られ、さらに全体として、この形状が重要な表示要素となり得ることが明らかとなってきた。 結果として、これまでの検証結果とは異なる方向性が得られたため、追加の調査が必要となった。そこで本研究を2024年度まで延長し、視認調査の研究を継続することとした。
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今後の研究の推進方策 |
歴史災害痕跡データベースに記録されている地震、火山噴火、水害、副次的災害(人為災害)、さらに災害痕跡なし(調査地点)の表示マーカーについて、まず改めて色、形状、大きさ、表示方法(影のあるなし等)の要素を精査すると共に、デザインの調整を行う。 さらにそれらを比較するためのサンプル画面を、実際のデータベースと同じ表示形式で作成し、2024年度に2~3回のアンケート調査を行う。 その結果を統計的に取りまとめ、検証成果とすることとする。 データベースとしては、その検証実験の間にもデータ収集は進め、レコードの拡充を行う。
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