研究課題/領域番号 |
20K20335
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補助金の研究課題番号 |
18H05316 (2018-2019)
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 (2020) 補助金 (2018-2019) |
審査区分 |
中区分8:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉川 徹 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (90263194)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,090千円 (直接経費: 19,300千円、間接経費: 5,790千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2018年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 進路選択 / 人口社会減 / 地方再生 / ライフヒストリー / 継続調査 / 大学進学 / 人口流出 / 若者論 / 高等教育機会 / 人口減少 / 高等教育進学 / 地元定住 |
研究開始時の研究の概要 |
地方からの若年層の進学流出の構造と課題について、それぞれの地域によって異なる実情をエビデンスに基づいて描き出し、学術的な論点整理を行う。 その視点としては、流出移動の当事者である若者自身だけではなく、教員、行政担当者、両親、地域産業などを包括的な視野でとらえる。同時に20世紀から21世紀にかけての30年、個人のライフコースとしては10代から50代までという長いタイムスパンを捉えることで、日本の地方の若年層の実態を立体的に把握する。
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研究実績の概要 |
本研究では、人口減少地域のからの若年層の流出に注目して、実態を様々な方法で調査研究してきた。とくに一時点における人の移動実態にとどまらず、中期・長期のライフコース上における人びとの水平移動の動きと、人生の諸段階における考え方の変化、そして人びとを移動させる社会学的な力学に注目した。 具体的には、沖縄県本島北部地域、石川県奥能登地域、福井県奥越地域、福井県嶺南地域、愛媛県西予地域、鹿児島県大隅地域、島根県出雲地域、島根県石見地域、和歌山県紀南地域において、地域の県立普通高校からの若年層の進学流出に焦点を絞って検討してきた。 2波の追跡調査では、まず2019年に各地域の約4000名の高校三年生に進学と将来についての調査を実施し、5年後の2023年時点で、そのフォローアップパネル調査を実施した。このデータは地域ごと、学校ごとの卒業生の人口流出の実態をみるマルチレベル多変量解析によって整理し、地域性、ジェンダー差、地元定着の契機などについて明らかにしつつある。これと並行して各地の高校において進学実績を教諭から聞き取り地域移動の動向を把握している。 他方で、島根県奥出雲町の出身者については、高校3年時、就職後の24歳時、25年を経た49歳時の3度の追跡半構造化インタビューを実施し、13名の30年にわたるライフコースを聞き取りデータとして収集した。 これらを総合し、若年層の地元定着、進学流出、都市定住、Uターンという地域移動が、いかなる要因によって規定されており、人生の各段階で人びとがどのような意識状態あるのかを描き出す研究を進めている。ミクロな個人の合理的選択が、マクロな人口減少をもたらすメカニズムを明らかにし、地域を維持しているのはどのような人で、いかなるライフコースをたどっているのかということについて、フィールドワークに基づいたモノグラフを進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
聞き取り調査を計画していた2020年から2022年にかけて、新型コロナウィルス感染拡大のため、各地域を訪問して、対象者に直接接触して聞き取りを行うことが十分にできず、大幅に研究計画が遅延した。 量的調査も1年遅れで実施せざるを得ず、ライフコースの聞き取りは2023年度下半期になってようやく、13名の聞き取りが終了した状態である。これからトランスクリプトと内容分析を進めていくが、現状ではデータ収集の不可避の遅れが原因で、十分な検討の期間をもつことができていない。 量的調査データセットが完成したのは2024年2月である。調査自体は、コロナ禍を避けて実施したために、十分な回収結果を得ることができている。現在、調査進行の遅れを取り戻すべく現在解析を進めているが、未だ分析に十分な時間をかけることができていない。 そこで研究期間を延長し、得られたデータを分析し、連携研究者と研究会を実施し、学会報告を行うほか、当初予定していた書籍の執筆を開始する。
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今後の研究の推進方策 |
現在、聞き取り調査データ、対象地域の資料収集、量的調査データの整理と基礎分析は終わっており、これから論文、書籍の執筆に向けて本格的な分析に入っていく。 とりわけ30年以上をかけた追跡半構造化インタビューデータは、希少性の高い情報をもつので、その方法論、実際の語りの言葉、それらに基づいた対象地域への政策上の示唆などを幅広く含んだ書籍を刊行すべく、調整中である。 同じ関心をもつ研究者と情報を共有して、総合的なローカルトラック研究の枠組みを構築し、それに基づいた学術発信を積極的に行っていく。
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