社会性昆虫におけるゲノムインプリンティングによるカースト決定の実証

• 研究課題/領域番号: 20K20380
• 補助金の研究課題番号: 18H05372 (2018-2019)
• 研究種目: 挑戦的研究(開拓)
• 配分区分: 基金 (2020); 補助金 (2018-2019)
• 審査区分: 中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 松浦 健二 京都大学, 農学研究科, 教授 (40379821)
• 研究期間 (年度): 2018-06-29 – 2024-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2023年度)
• 配分額: 25,610千円 (直接経費: 19,700千円、間接経費: 5,910千円); 2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円); 2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円); 2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円); 2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円); 2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円); 2018年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
• キーワード: シロアリ / エピジェネティックインヘリタンス / ゲノムインプリンティング / 社会性昆虫 / カースト / 進化 / エピジェネティクス / 真社会性

研究開始時の研究の概要

生物学は今まさにダーウィン以来の大きなパラダイムシフトの時代を迎えている。我々はゲノムインプリンティングが社会性昆虫のカースト決定に影響することを理論的に明らかにした。本研究は、「カースト決定のゲノムインプリンティング説」を実験的に証明し、そのエピジェネティック因子を突き止めることで、世界に先駆けて社会性進化のミッシングリンクを解明する。

研究成果の概要

エピジェネティックインヘリタンスがシロアリにおいて子のカースト決定に影響することを世界で初めて実証し、それに関わる候補遺伝子を精子の網羅的メチル化解析とカースト分化の相関分析によって特定した。また、単為生殖卵の略奪を通じた社会寄生のメカニズムを明らかにし、繁殖様式の地理的多様性を解明した。これらの成果は、シロアリの社会構造や真社会性の起源に関する新たな知見を提供する。

研究成果の学術的意義や社会的意義

世代を超えるエピジェネティックインヘリタンスによる子のカースト決定機構を明らかにしたことは、配偶子のエピジェネティック修飾が小世代の発生に影響することを明らかにしたものであり、社会性昆虫のみならず、広く生物学におけるパラダイムシフトをもたらす重要な発見である。

研究成果

• [学会発表] 長寿かつ多産を実現する抗酸化システム：シロアリの女王特異的に発現するカタラーゼの機能解析 (2018)
  • 著者名/発表者名: 田崎英祐, 松浦健二, 井内良仁.
  • 学会等名: 第41回日本分子生物学会
• [学会発表] 真社会性の作り方：ゲノムインプリンティング説の提唱 (2018)
  • 著者名/発表者名: 松浦 健二
  • 学会等名: 第34回個体群生態学会大会
• [学会発表] シロアリの非巣仲間に対する攻撃行動は社会環境要因によって変わる (2018)
  • 著者名/発表者名: 小西尭生・松浦健二
  • 学会等名: 第37回日本動物行動学会
• [学会発表] Evolution of termite reproductive systems and genomic imprinting. (2018)
  • 著者名/発表者名: MATSUURA Kenji
  • 学会等名: Special Lecture: Huazhong Agricultural University
  • 国際学会
• [学会発表] Estimation of genomic recombunation rates of termites. (2018)
  • 著者名/発表者名: Waiker P, Rueppell O, Vargo EL, Matsuura K
  • 学会等名: International Union for the Study of Social Insects (IUSSI2018)
  • 国際学会
• [学会発表] Subterranean adaptation in termites: a low O2 and high CO2 condition enhances reproduction of queens. (2018)
  • 著者名/発表者名: Tasaki E, Komagata Y, Yoshihito Iuchi Y, Matsuura K
  • 学会等名: International Union for the Study of Social Insects (IUSSI2018)
  • 国際学会
• [学会発表] Queen-destined parthenogenetic daughters as a preadaptation for asexual queen succession in termites. (2018)
  • 著者名/発表者名: Nozaki T, Yashiro T, Matsuura K
  • 学会等名: International Union for the Study of Social Insects (IUSSI2018)
  • 国際学会
• [学会発表] Multifunctionality of soldier pheromone in a termite (2018)
  • 著者名/発表者名: Mitaka Y, Yanagihara S, Mori N, Matsuura K.
  • 学会等名: International Union for the Study of Social Insects (IUSSI2018)
  • 国際学会
• [学会発表] Extended symbiosis: gut microbes protect termite nests from opportunistic microorganisms. (2018)
  • 著者名/発表者名: Inagaki T. Matsuura K.
  • 学会等名: International Union for the Study of Social Insects (IUSSI2018)
  • 国際学会
• [学会発表] Genomic imprinting drives the evolution of termite eusociality. (2018)
  • 著者名/発表者名: Matsuura K, Mizumoto N, Kobayashi K, Yashiro T, Vargo EL
  • 学会等名: International Union for the Study of Social Insects (IUSSI2018)
  • 国際学会
• [備考] 京都大学昆虫生態学研究室HP
  • URL: http://www.insecteco.kais.kyoto-u.ac.jp/