研究課題/領域番号 |
20K20382
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補助金の研究課題番号 |
18H05374 (2018-2019)
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 (2020) 補助金 (2018-2019) |
審査区分 |
中区分48:生体の構造と機能およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
五十嵐 和彦 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00250738)
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研究分担者 |
張替 秀郎 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50302146)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2020年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2019年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2018年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | 造血幹細胞 / 老化 / 転写因子 / 遺伝子発現 / 骨髄異形成症候群 / 造血管細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
赤血球は生体を構成する細胞の実に約70%をしめる。その異常で生じる貧血は世界で最も罹患者の多い疾患の一つであり、酸素の供給が低下し、臓器障害などをきたす。貧血の治療には鉄剤やエリスロポエチンが使われるが、鉄には毒性があること、エリスロポエチンは腎臓に原因があるものなど一部の貧血にしか有効でないことなど、貧血治療法にはさらなる改善が求められている。本研究では、赤血球分化の際に細胞で生じる遺伝子発現変化の仕組み、特にエピジェネティックな制御機構に着目し、この機構を人為的に操作することで赤血球産生を増大させることが可能であることを示す。さらに、得られた知見に基づいて斬新な貧血治療薬の開発を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、赤血球分化におけるS-adenosylmethionine (SAM)合成酵素MAT2の役割、そしてSAMの赤血球前駆細胞エピジェネティクス制御における役割の解明を目指した。赤血球分化進行とともに、MAT2A (MAT2触媒サブユニット) の発現が低下し、SAM濃度も低下することを見いだした。そして、このSAM低下がエピゲノム全体の変化を引き起こすことを証明した。Hela細胞などではSAM濃度低下はフィードバック制御によりMAT2A発現を上昇させるのに対して、赤血球ではこのフィードバック制御を動かさないことでSAM低下を分化シグナルとしていることが考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
赤血球は酸素運搬を担う細胞であり、体を構成する約30兆個の細胞の実に8割を占める。その寿命は約4ヶ月であり、日々大量の赤血球が骨髄で作り出される。この赤血球造血過程は鉄不足、遺伝的異常、感染症、加齢などによりしばしば障害され、貧血を引き起こす。貧血は世界で罹患者数が最も多い疾患の一つであるが、その根本的治療法の選択肢は十分とは言えない。本研究によりMAT2が貧血治療薬の標的となることが示唆された。
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