研究課題/領域番号 |
20K20409
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補助金の研究課題番号 |
19H05473 (2019)
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 (2020) 補助金 (2019) |
審査区分 |
超高齢社会研究
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研究機関 | 北里大学 (2021-2022) 慶應義塾大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
藤岡 正人 北里大学, 医学部, 教授 (70398626)
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研究分担者 |
小川 郁 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 名誉教授 (00169179)
新井 康通 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20255467)
細谷 誠 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30645445)
野口 勝 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (50626760)
佐々木 貴史 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70306843)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2019年度: 14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
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キーワード | 加齢性難聴 / GWAS / omics研究 / imflammaging / ヒトiPS細胞 / コモンマーモセット / omics解析 / オミックス / iPS細胞創薬 / マーモセット / iPS創薬 |
研究開始時の研究の概要 |
難聴は65歳以上の高齢者の1/3、世界で約5億人が罹患し、QOLの低下のみならず認知症や高齢者のうつ病の危険因子ともされ、未曾有の超高齢社会を迎えた本邦での健康寿命延伸には欠かせない課題である。加齢で進行する難聴は、音刺激の感覚受容器である内耳に原因があるとされるが、内耳は側頭骨の奥深くに存在して生検できず、詳細なメカニズムは不明な点が多い。 本研究では、多層オミックス解析と霊長類モデルを駆使して、この治療法不在の疾患に迫り、原因の一端を解明し、最終的には難聴治療・予防法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
超高齢化社会を迎えて久しい本邦にとって重要な課題である加齢性難聴の病態理解と治療標的を同定すべく、本研究では(1)超高齢者の聴力を規定する一塩基多型(SNP)の探索同定と(2)小型霊長類コモンマーモセットでの遺伝子発現解析により病態に関与する候補遺伝子を絞り込み、(3)マウスモデルやヒトiPS技術でこれらの遺伝子の内耳細胞における役割やSNPが与える影響の機能評価を行うことで、内耳細胞の加齢性変化に影響を与える体質・遺伝子の同定と分子メカニズムの解明を目指す。 研究実績概要: (1)(2)聴力検査を施行しデータ解析が可能であった400名超の健康長寿者の全ゲノム解析GWASを最新のimputation法を併用して行い、複数の聴力関連SNP候補を見出し、マーモセット内耳での研究で絞り込んだのち、GWASカタログを用いて再現性を確認した。このようにしてられた候補SNPからのinformaticsにより、高齢者の聴力と相関を示すpathwayとしてinflammagingの関与が示唆された。得られた候補SNPの近傍に既報の難聴遺伝子が存在するものについては、当該難聴患者から疾患iPS細胞を樹立した。(3)遺伝子改変マウスによる候補遺伝子のin vivoでの加齢性難聴の評価をすべく、C57BL6マウスの若年発症型進行性難聴の原因SNPを修復したマウスを導入し、基礎データとしてその聴力の加齢性変化を検討した。さらに、上述の遺伝性難聴についてモデルマウスの作成を開始した。 なお、令和2年度はコロナ禍における施設方針により、令和3年度は学内の施設工事により、マウス研究のほぼ全てと、全てのiPS細胞研究が停止し、令和4年2月に研究代表者の異動により、iPS細胞やマウスを含めた全ての研究リソースの引越したため、研究は大幅に遅れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度は新型コロナ感染症パンデミックにおける研究施設の感染症対策の基本方針により、マウス研究室の立ち入り禁止を含む研究停止と、全てのiPS細胞を 用いた研究とが停止した。川崎コホート研究の追跡調査も延期となった。 令和3年度は動物飼育施設が老朽化のために全面リニューアルすることとなり、全てのマウス系統を一度クローズすることとなった。他の母集団を用いた、ゲノム解析結果の再現性の検討(replication study)については、共同研究予定だった国外施設のロックダウンにより進捗が止まっていた(来年度、国内の共同研究で開始予定)。令和4年2月には、研究代表者が北里大学に赴任することとなり、樹立したすべてのiPS細胞を含めた研究リソースの引越を行った。これらの不可避かつ複合的な外的要因のために、研究進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
他の母集団を用いた、ゲノム解析結果の再現性の検討(replication study)については、共同研究予定だった国外施設のロックダウンにより進捗が止まっていたが、国内での共同研究で再開する。得られたSNP候補の病態生理への関与についてを、疾患特異的iPS細胞研究と、マウスモデルを用いて検討していく。 高齢者GWAS研究から示唆された「難聴とinflammaging」は今後の一つの研究領域を切り拓く可能性を秘めた新規軸と考えるられ、観察研究から得られたこの研究コンセプトを検証する介入研究(in vitroヒト細胞研究とin vivo齧歯類研究)を立案し遂行することで、丁寧に仮説検証のプロセスを詰めていきたい。
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