研究課題/領域番号 |
20K20425
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補助金の研究課題番号 |
19H05496 (2019)
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 (2020) 補助金 (2019) |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐々 真一 京都大学, 理学研究科, 教授 (30235238)
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研究分担者 |
湯川 諭 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (20292899)
齋藤 一弥 筑波大学, 数理物質系, 教授 (30195979)
中川 尚子 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (60311586)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2020年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2019年度: 14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
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キーワード | 熱力学 / 一次転移 / 相共存 / 非平衡 / 熱伝導 / 分子動力学 / ゆらぎの理論 / ゆらぎ |
研究開始時の研究の概要 |
定圧環境下で気液転移温度を挟んだ温度プロファイルが実現したとする。気液界面の温度が平衡での転移温度から小さくなるとき、過冷却気体が安定化することになる。この現象は熱力学の拡張によって予言されるが、実験によって定量的に測定し、数値実験によりミクロな記述との関係を追究し、ゆらぎのダイナミクススによってミクロとマクロを結ぶ。気液転移だけでなく、熱伝導下一次転移という広いクラスに対する新しい普遍的な理論を構築する。
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研究成果の概要 |
熱伝導下相共存の熱力学的性質に関して、水および液晶を用いた実験、レナード=ジョーンズポテンシャル相互作用する分子動力学のシミュレーション、大域熱力学、ゆらぎの理論を用いて調べた。熱流によって過冷却気体が安定に存在することを予言する熱力学の体系は大きく進展した。ゆらぎの理論にもとづく大域熱力学の予言の理解もかなり深まってきた。そして、その現象が観測されるためには、あるクロスオーバーサイズ以上の系の大きさが必要であることが分かり、分子動力学で観測されるのは将来の課題である。また、実験で精密に観測するための理想的な設定を準備するのは簡単にはできないことも明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
普遍的に準安定状態を熱流で安定化することができれば、新しい物性の開拓につながり、工学的な応用も期待される。そのような質的に新しい現象について定量的に調べることにより、その実現可能性について明らかにしてきた意義は大きい。まず、その現象が確かに存在すること、また、それを定量的に記述する理論が大変綺麗な構造をもっていたことは学術的に意義深い。さらには、新しい熱力学体系とミクロな世界のつながりを確立するという非平衡統計力学の新しい課題を提供しつつ部分的に解決しているのも重要である。そして、分子動力学や実験で実現することの難しさを明らかにしたことは、引き続き行われるあろう研究で参照されることになる。
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