研究課題/領域番号 |
20K20434
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補助金の研究課題番号 |
19H05509 (2019)
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 (2020) 補助金 (2019) |
審査区分 |
中区分22:土木工学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
肥後 陽介 京都大学, 経営管理研究部, 教授 (10444449)
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研究分担者 |
松島 亘志 筑波大学, システム情報系, 教授 (60251625)
大竹 雄 東北大学, 工学研究科, 准教授 (90598822)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2020年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2019年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | 土の形態変化 / ミクロスケール / 多相系 / マイクロメカニクスベースモデル / データサイエンス |
研究開始時の研究の概要 |
X線マイクロCTと画像解析によるミクロスケール多相系組織形態変化の抽出,マイクロメカニクスベースモデルの開発,データサイエンスを導入した不均質性のモデル化を実践する.これらの先端技術導入の一方で,既存の調査・実験で得られるごく基本的な物理量を用いた力学挙動の記述により,広範な土木実務者の地盤挙動解釈を飛躍的に深度化させる.さらに,可視化が困難な土構造物内部の物性値の分布を既存技術で得られる地盤情報から完全に構築する先駆的理論を提示する.
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研究実績の概要 |
粒状体マイクロメカニクスベースモデルの不飽和土への拡張:ミクロスケールの多相系組織形態変化に基づき,メソ~マクロの土の挙動を基本的な土質力学の物理量を用いて記述するマイクロメカニクスベースモデルを構築し,これを実装した地盤の変形解析法を確立した.土相のみの粒状体マイクロメカニクスベース構成式を定式化した.特に,飽和度の高い領域についての定式化した.これに,実験で明らかにした間隙流体の存在形態,液架橋構造のサクションから,水分保持特性曲線を記述するとともに,有効応力と土粒子間接触力への寄与を考慮した不飽和土のモデルへ拡張した.この時,入力パラメータはマクロな飽和度のみであり,水分の分布は土粒子接触点,個々の間隙体積の分布からモデル化した. DEMによる実験結果の解釈とモデル検証:DEMシミュレーションを実施し,解析的に多相系組織形態変化を解釈した.また,DEM解析の結果の比較からマイクロメカニクスベースモデルの検証を試みた. 超解像技術によるミクロ~メソへのアップスケーリング:X線マイクロCT画像にデータサイエンスを適用し,土が粒状体として潜在的に有するミクロな不均質性とメソ・マクロの物性値の空間変動の関係をモデル化し,不均質性のミクロ~メソ~マクロへのスケールアップを試みた.ミクロスケール(土粒子・間隙)の高解像度CT画像とメソスケール(供試体)の中解像度CT画像の関係を「学習」させることにより,ミクロスケールの高解像度を維持した状態でメソスケールの空間規模の画像を取得する.これにより,数cmスケールの供試体全体にミクロスケールの不均質性をアップスケーリング手法を開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロメカニクスベースモデルの構築は順調に進んでいる,一方で,コロナウィルス感染症拡大の影響で,実験的研究は計画より遅れが生じている. これに伴い,超解像技術によるミクロ~メソへのアップスケーリングにも遅れが生じている.ここでは,X線マイクロCT画像にデータサイエンスを適用し,土が粒状体として潜在的に有するミクロな不均質性とメソ・マクロの物性値の空間変動の関係をモデル化し,不均質性のミクロ~メソ~マクロへのスケールアップを実現するが,ミクロスケール(土粒子・間隙)の高解像度CT画像とメソスケール(供試体)の中解像度CT画像の関係を「学習」させるための画像取得が進んでいない.
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今後の研究の推進方策 |
■DEMによる実験結果の解釈とモデル検証:前年度に引き続き,DEMシミュレーションを実施し,解析的に多相系組織形態変化を解釈する.また,DEM解析の結果の比較からマイクロメカニクスベースモデルの検証を行う. ■超解像技術によるミクロ~メソへのアップスケーリング:前年度に引き続き,データサイエンスの超解像技術を応用し,ミクロスケール(土粒子・間隙)の高解像度CT画像とメソスケール(供試体)の中解像度CT画像の関係を「学習」させることにより,ミクロスケールの高解像度を維持した状態でメソスケールの空間規模の画像を取得する.これにより,数cmスケールの供試体全体にミクロスケールの不均質性をアップスケーリングする. ■土粒子・間隙スケールの物理に根差した地盤挙動解析: Cで構築した自己組織化構造モデルを用い,マクロスケールの実盛土内部の物性値の不均 質な分布を記述する.具体的には,間隙比,間隙体積,土粒子径,接触点等の土粒子構造,および液架橋構造の数・曲率,各間隙を充てんする水分量等の間隙流体の存在形態という,ミクロスケールの多相系組織形態がマクロスケールの盛土全体に展開され,地盤内部の物性値の空間変動が完全に記述される.これに基づき,既に確立したマイクロメカニクスベースモデルの入力パラメータの空間変動を決定し,不飽和盛土の降雨時変形解析を実施する.このとき透水性は間隙比と飽和度から決定する.この土粒子・間隙スケールの物理に根差したマクロスケール実地盤の地盤変形挙動解析により,従来の地盤力学の現象論的モデルでは説明が困難な,基本的な土の物理量による,不均質性を考慮した地盤の浸透・変形挙動解析を実現する.さらに,均質な地盤モデルによる従前の手法による解析を実施し,結果の比較から不均質性の影響と従前のモデルパラメータの物理的意味を解釈する.
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