研究課題/領域番号 |
20K20487
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補助金の研究課題番号 |
19H05583 (2019)
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 (2020) 補助金 (2019) |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
吉岡 博貴 愛知県立大学, 情報科学部, 教授 (40332944)
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研究分担者 |
市井 和仁 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 教授 (50345865)
松岡 真如 三重大学, 工学研究科, 准教授 (50399325)
小畑 建太 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (80758201)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
25,740千円 (直接経費: 19,800千円、間接経費: 5,940千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2019年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 衛星コンステレーション / 逆算アルゴリズム / 等価性 / ひまわり8号 / GEO / MODIS / LEO / リモートセンシング |
研究開始時の研究の概要 |
新しい時代を迎えつつある地球観測分野では,数千機の人工衛星を同時に使った地球観測網,いわゆる衛星コンステレーションが実現されつつある.そこでは,これまで生じなかった様々な問題が発生する.その1つが,“複数センサ間の差異を考慮し観測結果の一貫性をいかに保つか”という問題である.センサ間の観測結果を相互に比較する場合,各組み合わせごとに直接的に比較する方法がとられている.衛星の数がさらに増え,組み合わせの数が膨大になると,この方法では対応が困難となる.そこで,本研究ではセンサ間の比較を極力回避するための方法について研究し,そのための理論的基盤の構築を目指す.
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研究実績の概要 |
R5年度の目標は,それまでの実施期間に展開した研究の成果をアルゴリズムとして実装し,複数の衛星ペアを想定した包括的な観測結果変換手法の有効性を数値実験により確認することであった.それと同時に,それら衛星軌道およびセンサの特性を考慮した補正処理,さらには変換精度に影響を及ぼす幾何条件の違いや,対象地点の標高等を考慮したデータの高精度化に関する研究を実施した.これら複数の検討項目を3つのグループにより同時並行的に進めた. R4年度までは,直下視観測からのずれが少ない中解像度の実データを利用することで,観測幾何条件を一定の範囲に限定したケースを想定し,変換手法の有効性を検証してきた.R4昨年度後半からはその条件を緩和する取り組みに着手しているが,R5年度もその取り組みをさらに進め知見の蓄積を進めている. R5年度の主な成果は下記の4点にまとめられる.(1)緑被率を利用した変換アルゴリズムの定式化および知見をまとめ,本課題の核となる成果として結実している.(2)中緯度における観測幾何条件の類似度が高くなる特殊なケースを想定した数値実験を実施し,観測幾何条件の違いに起因する影響の低減可能性について知見を得た.(3)二行軌道要素形式を利用した軌道シミュレーションの結果を用いると,対象とする衛星の観測データを直接的に利用することなくセンサペアの観測幾何条件に関する類似性を判定できることを見出した.(4)GEO衛星を対象とした効率的なオルソ化アルゴリズムを実装し,Himawari8を対象にその有効性の検証を進めた.その結果,標高を考慮したオルソ化を実施していないデータに対しても本研究による補正手法は有効であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では,設定した課題に対して,3大学に所属する3つのグループが連携し,効率的な実施体制で取り組んでいる.R5年度の主な成果は以下の4点に集約されるが,このうち原著論文として執筆が完了したのは2テーマであった.(1)緑被率を利用した変換アルゴリズムの定式化および妥当性の評価,(2)観測幾何条件の類似度が高くなる中緯度地帯を対象とした特殊なケースでの数値実験,(3)軌道シミュレーションによる観測幾何条件の類似度地点の時空間的分布解析,(4)GEO衛星を対象とした効率的なオルソ化アルゴリズムの実装.R5年度に完了しなかったテーマについては,R6年度も執筆作業を継続する. グループ間連携による研究の進捗について見ると,構成メンバの交流も定期的に実施しており,意見交換や議論を重ねることができていることから,一時的に遅れていた研究のペースは回復している.R5年度は,議論を重ねることによって研究成果や個々が蓄積している知見を整理・共有できており,論文執筆のペースも上がってきた.しかしながら,本研究課題の最終年度を前にした年度の実績としては,当初掲げた到達目標からはやや遅れており,研究全体の進捗状況としては反省すべき点である.これらの理由から,この時点の自己評価としてはやや遅れていると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では大規模な衛星観測網を想定し,センサ間の観測結果を相互に変換するための研究を展開している.そのために必要な理論を次の3項目に分類し,各項目に関連するサブテーマを設定することで3研究グループが並行して研究を進めている.(1)センサ固有性の分離可能性,(2)センサ固有性の結合可能性,(3)逆算アルゴリズムの等価性. 実施1年目(R1年度)では,センサの固有性を逆算アルゴリズムとして抽出するための方法について研究を進め,植生変数等の逆算アルゴリズム(に用いられる変数)をセンサごとの特性に応じて抽出し,それらを調整するための手法について一定の知見を得た.実施2年目(R2年度)では,個々に抽出されたセンサの固有性に関する情報を,センサ対ごとに結合することの可能性について検討を進めた.実施3年目(R3年度)では,解像度依存性の影響を考慮すると同時に,変換手法の可能性を追求し,逆算アルゴリズムの等価性についての検討に着手した.実施4年目(R4年度)では,逆算アルゴリズム等価性の検討と同時に,複数の衛星ペアを想定した包括的な観測結果変換手法の開発に着手した.実施5年目(R5年度)では,アルゴリズムの実装および数値実験を実施し核となる結果として論文化を行った.本課題の最終年度となるR6年度は,研究全体の成果を理論体系としてまとめることを計画している.特に,GEOとLEOの衛星間の変換を念頭に置いた変換アルゴリズムの検討を進め,本課題の知見をまとめるための作業も計画している.
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