研究課題/領域番号 |
20K20489
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補助金の研究課題番号 |
19H05585 (2019)
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 (2020) 補助金 (2019) |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
原田 香奈子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (80409672)
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研究分担者 |
光石 衛 帝京大学, 先端総合研究機構, 教授 (90183110)
MarquesMarinho Murilo 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70837468)
荒田 純平 九州大学, 工学研究院, 教授 (40377586)
藤代 準 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60528438)
石丸 哲也 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児外科系専門診療部, 診療部長 (00633629)
出家 亨一 埼玉県立小児医療センター (臨床研究部), 外科, 医長 (00845109)
高澤 慎也 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40421094)
Heredia Saul 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (00996788)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2020年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2019年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | ロボット / 自動化 / シミュレーション / 小児外科 / 手術ロボット / Virtual fixtures / 知的制御 / 新生児 / Virtual fixture |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,現在開発中の汎用手術ロボット「スマートアーム」をベースとして,新生児用手術ロボットの開発に挑戦する.具体的には,スマートアームのツールを新生児に対応できるように改良し,また,新生児手術に対応したツールの自動衝突回避やツール先端位置の自動誘導などの知的制御を開発して実装する.フィデリティの高い新生児胸腔モデルを開発し,このモデルを活用して新生児用手術ロボットの定量的な評価を行う.
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研究実績の概要 |
本研究では,現在開発中の汎用手術ロボット「スマートアーム」をベースとして,新生児用手術ロボットの開発に挑戦する.当該年度は,前年度までに開発した自動衝突回避,ツール先端位置の自動誘導,および完全自動化を比較し,その特徴を明らかにした. 新生児を対象とした手術では,体内の作業空間が極めて狭小であり,また,内視鏡の視野も極めて狭いため,術具の挿入点での拘束に加えて,視野外での術具の動作も考慮した術具同士,あるいは術具と周辺の生体組織との衝突を自動で回避する必要がある.また,狭小作業空間内で多自由度の術具を操作することは困難であり,上記の安全性を担保したうえでの動作の自動化が必要となる. これまでにルーピングタスクを対象として,体腔内での術具の衝突や体外でのロボット同士の衝突を自動で避けながら術者が遠隔操作を行う手法,この自動衝突に加えて術者の手に力覚フィードバックを与えることによって術具先端の位置を自動で誘導する方法,術者が介在せずに完全自動化する手法を開発してきた.今年度は完全自動化手法の改良に取り組み,術具先端が視野内の15mmの仮想球の領域から出ないような拘束を与えつつ,自動でルーピングする手法を新たに開発した.ロボット手術では,術具先端が視野外に出ると臓器との接触を把握することができなくなるため,開発した手法は,ロボット手術特有の危険を回避しつつ自動化することができる.実験では,自動衝突回避,自動衝突回避と自動誘導,完全自動の3種類の自動化をシミュレーション,および実機によって比較した.結果として,完全自動化は,タスク遂行時間は従来より圧倒的に早く,ばらつきなくタスクを実行することができた.つまり,操作者のスキルのばらつきに影響されずに,安全にタスクを遂行することができた.一方で,自動化開始時点での糸の長さや持ち方が成功率に影響することがわかり,その改善が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
手術ロボットの自動化は世界的なトレンドとなっている.世界的な手術ロボット自動化の研究の主な対象は成人の手術であるが,新生児などを対象とした小児外科は作業空間も視野も小さく,様々な制約がある.本研究では,狭小空間・狭小視野において3種類の自動化を提案しており,特にシミュレーションおよび実機を用いた自動化手法の研究は大きな成果である.世界的にも独創的な研究であり,順調に進展していると考える. 成人用手術ロボットの自動化技術は単純には小児外科には応用できないが,よりチャレンジングな課題を解決する小児外科用の自動化技術は成人用にも応用可能である.特に,省人化ではなく,安全性と正確化を実現できる技術として開発を進めることができている.
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今後の研究の推進方策 |
安全性と正確化を実現する自動化技術を開発できたため,成果としてとりまとめて発表する予定である.また,自動化開始時点での糸の長さや持ち方が成功率に影響することがわかった.現在のシミュレーション環境は,ロボット自動化手法の研究には優れるが,一方で,シミュレータ内の糸の挙動の再現には限界がある.シミュレーション環境も含めて研究する.
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