研究課題/領域番号 |
20K20506
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
川崎 一平 東海大学, 人文学部, 教授 (10259377)
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研究分担者 |
武田 淳 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (00779754)
豊田 由貴夫 立教大学, 名誉教授, 名誉教授 (20197974)
武藤 文人 東海大学, 海洋学部, 教授 (50392915)
中村 雅子 東海大学, 海洋学部, 准教授 (50580156)
新本 万里子 広島市立大学, 国際学部, 研究員 (60634219)
小松 大祐 東海大学, 海洋学部, 准教授 (70422011)
熊谷 圭知 お茶の水女子大学, 名誉教授 (80153344)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
21,580千円 (直接経費: 16,600千円、間接経費: 4,980千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2021年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2020年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 気候変動適応 / パプアニューギニア / 環境変動影響 / 食糧安全保障 / マングローブ保全 / サンゴ礁白化現象 / 気候変動 / 文理融合研究 / 文理融合型研究 |
研究開始時の研究の概要 |
気候変動への適応は、主として自然科学的生態学的見地からなされてきた。しかし、人間の生活様式の変化による自然環境への影響にも注目するならば、自然科学的見地と社会科学的見地は相互に補完すべき方法論を立てていかなければならない。 本研究は、気候変動に関する研究の方法論的転換をめざし、エルニーニョ現象の影響が考えられる南太平洋パプアニューギニアを対象として、自然科学と人文・社会科学を融合させた分野横断型の詳細な現地調査を実施していく。 この研究を通して、気候変動の影響を具体的に検証し、近未来の気候変動に対応すべく島嶼・沿岸モデルを提示していきたいと考えている。
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研究実績の概要 |
2023年度は、当該研究対象国であるパプアニューギニア政府のコロナ対応も概ね終了し、本研究各メンバーによる現地調査の実施が可能となった。概要は以下のとおりである。 1. 気候変動対応に対する現状の把握。 前年度に引き続き、当該国気候変動局の方針に基づいた政策実施、特に食糧問題の安定的受給をめぐる課題について、各地域でどのような取り組みがなされているかを調査した。分担者の豊田は、パプアニューギニア、マヌス島にて、サゴデンプン収量増加の可能性に関する調査を実施。その結果は、国際学会等で発表する。分担者の新本は、東セピック州マプリク地区にて調査を実施。気候変動を現地の人々がどのように受け止めているのか聞き取り、焼畑農耕への影響と対応について調査を行った。分担者の武田は、東ハイランド州にて気候変動によるコーヒー産業への影響を調査した。その結果については学会誌で発表予定である。 2.開発に関する住民意識の問題。分担者の熊谷は、遠隔地村落および都市の移住者集落の「開発」と住民の対応について参与観察と聴き取りを行なった。その結果について論文等で発表をおこなっている。 3.自然環境変動についての把握 代表者の川崎と分担者の小松は、東セピック州、ウェワク諸島においてサンゴ礁白化現象の実態について、現場海域の観察と住民の聞き取り調査をおこなった。2023年時点では、当該海域における白化現象は確認できなかったが、一部海域で1990年代後半に白化した残存を確認することができた。住民への聞き取りによって、この時期に発生したエルニーニョとの関係が示唆されたが、その因果関係については詳細な分析が必要である。 またウェワク諸島におけるマングローブ林の状態については、2023年に発生したウェワク諸島を震源とする地震によって地形が変化し、その生物相に影響があるものと推測とされる。2024年度の課題としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度から開始された本研究は、コロナ禍の影響の中、現地調査の実施に困難を極めた。2022年度末より一部メンバーで調査を開始したが、実質的には初年度に計画していたものであり、全体としての遅れを取り戻すことが困難であった。2023年度は、2回目となる調査を実施したが、同国でのエネルギー問題が顕在化し滞在計画の変更を余儀なくされた。現地滞在期間中、調査計画を変更せざるをえなかったために、コロナ禍の影響による遅れを取り戻すことが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の影響による研究調査開始の遅れから、研究年度を2024年度まで延長した。2024年度は、最終年度となることから、可能な限り現地調査を継続し、各地域において把握してきた現状についてのさらなる分析をおこなっていくこととする。20024年1月には都市部で暴動が発生、エネルギー・燃料問題など社会情勢が不安定であるが、十分な安全を確保しつつ、データ収集をおこなっていく計画である。 今までの調査によって、パプアニューギニア大学、現地環境NGOとの研究協力体制も期待ができる。各地域で収集されたデータをこうした研究機関と情報交換することによって、分析の精度を高めていくこととする。
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