研究課題/領域番号 |
20K20515
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
天野 達郎 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (60734522)
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研究分担者 |
細川 由梨 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授 (30822829)
檜皮 貴子 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (50463948)
井上 芳光 大阪国際大学, 人間科学部, 名誉教授 (70144566)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | 熱中症 / 汗腺 / 自律性体温調節 / 学校 / 水分状態 / 脱水 / 暑熱 / 尿比重 / 子ども / iButton / 体育 / 発汗 / 体温調節 / 尿浸透圧 / 自ら学ぶ力 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では学校の子ども(小学校~中学校)が自ら考え行動して熱中症の予防をできるような新しい教育を構築することを最終的な目標とする.そのために子どもの体温調節機能(行動によって熱中症を回避する能力と,発汗などの生理機能によって熱中症を回避する機能)がどのように発達していくのかを解明し,それらを基に各年齢に応じた熱中症予防の介入を行い,子どもの熱中症を予防する力を育成できるかどうかを検討する.
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研究実績の概要 |
夏の学校現場では子どもの熱中症が深刻化しており,2018年夏に教育現場で起こった熱中症による緊急搬送者数は6,333人にも達している。熱中症の予防には暑さから身を守るための行動性の体温調節および自律神経性の体温調節が必要となる。しかし子どもにおける両体温調節能力は発達途上にあり学年(年齢)差や個人差が大きい。本研究では,数百名の子どもを対象とした大規模調査から,子どもの行動性・自律神経性体温調節能力を明らかにする。その上で,子どもが自分の身体の状態を的確に認識し,主体的に身を守る行動を考え,熱中症を予防する実践力を育む新たな教材開発やその効果の実証を行う。
2022年度には,前年度に作成した脱水予防のための教育動画が子どもや大人でも理解できるかどうかを,新潟県の子ども200名程度と全国の子ども1000人程度にインターネットによるウェブ調査を行って検討した。その結果,子どもたちは総じて水分予防のためのリテラシーが高いことが明らかになった。しかし,多くの子どもの水分摂取の意識は熱中症予防にあることから,暑くない時期の水分摂取は不足している可能性があり,前年度に得られた結果(春はやや脱水気味だが,夏はそうでもない)と一致している知見であった。
また,前年度に行った小学生から中学生までの暑熱暴露調査に加えて,2022年度は高校生の暑熱暴露調査を行った。120名程度の高校生を対象に,7月下旬の1週間,温湿度計をもって生活してもらい,実際の環境状態を測定した。その結果,屋外の運動部活動に従事している人は,気象情報などの温度よりも平均的に2-3℃高い環境で活動していることが明らかになった。また中には40℃を超えるような極端な例もあり,個別の温度モニタリングの重要性を示すデータであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度までには数百人の子どもを対象に,①子どもの体水分状態の解明と季節の影響の解明,②小学校から高校生までの暑熱暴露環境の実態解明,③脱水を予防するための教育動画の作成,④作成した動画の効果検証(子どもやその親が理解できるかどうか)を実施した。さらに2022年度末~2023年度にかけて,子どもの汗腺機能の発達過程を解明するためのプロジェクトを進めており,本申請書を記載している時点で270名の子どもの汗腺機能を薬理的に評価することに成功している。コロナの間に研究がやや停滞したものの,その後子どもの熱中症予防に関わる様々な生理機能を横断的に,かつ包括的に検討できていることから,おおむね順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には,すでに進んでいる子どもの汗腺機能の発達過程を解明するための測定をさらに進める(目標400名程度)。現在中学生や高校生のデータが少ないことから,この年齢層のデータ取得を重点的に行う。得られるデータは多数であることから,適切な解析ができるように分析のための時間を多く確保する予定である。
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