研究課題/領域番号 |
20K20544
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
細田 秀樹 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (10251620)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2021年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2020年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | 臨界状態 / 相変移 / ホモ遷移挙動 / 磁性形状記憶合金 / NiFeCoGa / 単結晶 / 形状記憶合金 / 微小試験 / ポストクリティカル状態 / ホモ遷移 / マルチフェロイック材料 / 機能変換材料 / 超弾性 |
研究開始時の研究の概要 |
固相-固相間の超臨界状態をポストクリティカル状態といい、相変態の無い状態変異でホモ遷移という。相変態が無いために、核生成・成長が無く、界面がなく、材料全体が中間状態を遷移し変異するため、界面移動の摩擦が無く、完全なゼロヒステリシスの達成が可能と考えられる。本研究は、この固相超臨界状態の機構の解明と、これに基づく機能発現と、これによる新多機能マルチフェロイック形状可変材料の創成を目指すものである。
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研究実績の概要 |
本年度の目的はホモ遷移挙動の調査および変形機構の解析および新物質探求である.ホモ遷移挙動として,Ni-Fe-Ga(Co)強磁性形状記憶合金の単結晶を用い,圧縮試験により超臨界状態での変形挙動の研究を進めた.超臨界状態でのマクロ的な変形が,ポストクリティカルホモ遷移において期待通りに試料全体で起こることを確かめるため,デジタル画像相関法(Digital Image Correlation DIC)により変形中の歪分布を求めることを計画している.このため,DIC法による形状記憶合金の変形挙動解析の確立を目指した.Ni-Fe-Ga(Co)単結晶試料は貴重であるため,純Tiシートや保有するTi系多結晶形状記憶合金を用い,さらにTi系単結晶形状記憶合金試料を用い,DIC法の利用法や評価法を確立した. NiMnGa合金については,画期的センサー・アクチュエータの開発のために,Ni-Mn-Ga合金単結晶状粒子をシートに挟むラミネートコンポジットを考案し,その評価を行った.特に,これまで高剛性のため使用不可能であったが電気伝導性や熱伝導性に優れる銅シートを用い複合材料を作製したところ,1層の粒子単体がそれぞれ3-4%の巨大磁歪を発生すること,コンポジット全体もそれに対応する巨大磁歪を発生することを確認した.これにより,Ni-Fe-Ga(Co)強磁性形状記憶合金でもセンサーやアクチュエータとして実用化できる可能性を示すことができた.さらに,国際共同研究として,巨大電気-磁気カップリング効果を持つPVDF-TrFEとNiMnGa粒子の複合材料の研究を進めた. これらに加え,前年度に引き続き,Ti-Cr, Ti-Au, Ti-Mo,Ni-Ti,Au-Cu-Al形状記憶合金などの非磁性合金でも相変態の経路や変形挙動に関する研究を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際共同研究として巨大電気磁気カップリングを示すNiMnGa/PVDF-TrFE複合材料の開発を進め,Applied Materials Today(https://doi.org/10.1016/j.apmt.2022.101682)誌に掲載された.また,本研究をベースにEU側(主はスペイン)で研究費申請を進めるなどの更なる連携について進展があった.さらに,NiMnGa積層材の研究論文をまとめることができ,センサー・アクチュエータとしてのプロトタイプを示すことができた.ただし,このNiMnGa/Cu積層複合材料の論文については,R5年度の掲載となったため,次年度の成果となる.DICおよびFIBの立ち上げが終わり,2023年度は出校制限もなくなったため,今後は更なる実験的研究の進展が期待できるといえる.
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今後の研究の推進方策 |
現状,ほぼ予定通りに研究が遂行できており,今後も予定通りに研究を進める方針である.主にチタン系形状記憶合金をデモ試料として用いることで,前年度後半に導入したデジタル画像相関法によるポストクリティカル変形挙動評価法の確立に目途がついた.また,微小機械試験の実験上の律速段階になっている集束イオンビーム加工機(FIB)を購入でき,その立ち上げもできたので,さらなる実験的研究進展が期待できる.結果の一部として,Ni-Ti系合金単結晶微小試験により,従来報告の無い組成域で,極めて高強度で高超弾性歪の発生を実験的に認めることができた.本変形がポストクリティカル状態遷移であるかは検証中であるが,画期的な結果と思っている.
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