研究課題/領域番号 |
20K20548
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分27:化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
阿尻 雅文 東北大学, 材料科学高等研究所, 教授 (60182995)
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研究分担者 |
成 基明 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 特任助教 (30747259)
笘居 高明 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (80583351)
横 哲 東北大学, 材料科学高等研究所, 講師 (80807339)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2022年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2021年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2020年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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キーワード | 水の熱化学分解 / ケミカルループ / 水素製造 / 酸素キャリア / 低温廃熱 / Water-Splitting / 界面 / 未利用熱 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、地熱エネルギーや産業からの低温未利用熱を利用したケミカルルーピングプロセスによる、水の熱分解水素および酸素生成を主目的とする。すでに見出された低温で4桁近くも大きな酸素移動現象は、高温超電導にも匹敵するインパクトの大きな発見である。この低温酸素移動発現の原理解明を行いつつ、超臨界法による巨大酸素貯蔵能キャリア開発を行う。最終的には、ケミカルルーピングによる低温Water Splittingを実験的に実証し、本プロセスの可能性を評価する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、廃熱を利用した水素製造を目的に、ケミカルルーピングシステムを用いた水の熱化学分解プロセスの開発を行っている。本プロセスを可能にするのは、高活性酸素キャリアナノ粒子である。酸素キャリアを熱還元し、酸素を生成させ、一方で、還元された酸素キャリアを水により酸化し、水素を得る。本年度は、熱重量分析を用いて、酸素キャリアの酸素放出と、水との反応性を評価した。 1000 °C以下の温度に着目し、熱力学データベースから、還元CeO2は水と反応し水素を出すこと、CuOは熱還元で酸素を出しながらCu2Oに還元されることを確認した。また、Cu2O-CeO2 の安定性から、CeO2の格子酸素がCu2Oの酸化に使われる可能性があることを確認した。 実際に、水素還元されたCeO2は600 °C以下で水と反応し水素を生成すること、CuOは800 °Cで熱還元することを確認した。 Cu2O-CeO2間の酸素移動に着目し、複合材料を合成し、分析を行った。結果として、CuO-CeO2間での酸素の移動が十分ではなかったため水素生成は確認できなかった。低温で酸素を放出する金属または金属酸化物とセリア間でスムーズに酸素が移動できる界面状態の制御を行うため、CeO2ナノ粒子上への金属/金属酸化物コーティングを検討した。 界面の制御に関しては、Pt-CeO2系で、CeO2の還元度を変化させて表面の電子状態を制御して、担持を行うことで、Pt-CeO2の相互作用を高めて、高分散担持が可能になることを明らかにした。この手法の展開によりさらに、異相界面制御を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Cu-CeO2の複合材料系を、計算により絞り込み、実験でも評価を行うことができた。しかし、異相界面での酸素移動についてはさらに検討が必要であることが分かった。複合化するための指針とそのための手法に進展が見られたが、それを踏まえた水素生成の実証試験が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
これまで主に進めてきたCu-CeO2系での界面制御をさらに検討するとともに、CeO2へのZrドーピングによる酸素移動度向上と、Pt-CeO2の系で見出されたナノ粒子表面化学状態制御による金属コーティング・界面制御により、水分解を実証するための複合材料開発を行う。
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