研究課題/領域番号 |
20K20556
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分30:応用物理工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
芦原 聡 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10302621)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2020年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
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キーワード | 超短パルスレーザー / 赤外電磁波 / 分子振動 / 中赤外波長域 / 化学反応 / 物質操作 / 多段階振動励起 / 化学反応制御 / レーザー加工 / 赤外レーザー / 振動分光 |
研究開始時の研究の概要 |
ピコ~フェムト秒の中赤外超短パルスレーザーを用いると,特定の分子振動モードを選択して強い振動励起を実現できる.これは,特定の化学結合にエネルギーを供給できることを意味する.本研究では,この「モード選択的な励起」を通して化学反応制御や有機材料加工を達成する手法およびその基礎をなす学術を開拓する.本研究は,これまで振動分光計測のためのツールとして重宝されてきた中赤外波長域の電磁波の『物質操作ツール』としての価値を顕在化させる挑戦でもある.
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研究成果の概要 |
本研究では、赤外パルスレーザーによる「モード選択的な振動励起」の学術的基礎を築くとともに、その物質操作への応用可能性の開拓をを目的とした。まず、理論解析により、赤外パルスの電場波形およびフルエンスに応じた多段階振動励起の予測を可能とした。次に、二酸化炭素分子を対象とし、中赤外パルスによる多段階振動励起を実現した。具体的には、液相の二酸化炭素の逆対称伸縮振動モードに関して初めて量子数9に至る励起を達成し、気相の二酸化炭素における振動・回転の多段階励起と回転波束生成にも初めて成功した。以上の通り、波形整形赤外パルスが高度な振動励起を可能とすることを実証し、物質操作への応用可能性の開拓に貢献した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は,赤外超短パルスレーザーの波形整形により,分子振動モードを選択的にかつ強く駆動できることを実証した.また,振動回転の多段階励起も可能であることを示した.このことは,赤外光が分子センシングに有用であるだけでなく,分子の振動を積極的に駆動するツールとして有用であることを示した,という意義をもつ.と同時に,加熱によって化学反応を促進する従来のアプローチと異なり,「所望の反応に関わる振動モードを選択的に励起して反応を促進する」というモード選択的化学へ向けて,その礎となる技術を開発した,という意義を有する.以上の通り,波形整形赤外光による物質操作への道を開く,重要な成果と言える.
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