研究課題/領域番号 |
20K20574
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
三浦 猛 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (00261339)
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研究分担者 |
三浦 智恵美 広島工業大学, 環境学部, 教授 (90518002)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2021年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2020年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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キーワード | 成長 / 成熟リスク / 給餌コントロール / 絶食 / 魚類養殖 / 養殖 / 給餌プロトコール / 成長と成熟 / 制限給餌 |
研究開始時の研究の概要 |
魚類では、成熟は成長に大きな影響を与える。魚類養殖では、性成熟が生産性を著しく低下させており、これを回避する革新的な成熟抑制技術が求められている。本研究では、この成熟リスクを回避する方法として「エサをやらない」一定期間完全無給餌による革新的な養殖方法を開発する。すなわち、メカニズムがほとんど分かっていない「栄養と性成熟の相互関係」と「性成熟と成長の相互関係」の二つの基礎的な生命現象をモデル実験魚を用いて解明し、その知見を基盤として絶食を含めた給餌コントロールによる成熟抑制技術を開発し、その技術を実際の養殖漁場で実証するという、基礎研究と応用技術開発が有機的に融合した挑戦的実践研究を行う。
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研究実績の概要 |
昨年までの研究の結果、ゼブラフィッシュによるモデル魚による解析および養殖漁場でのマダイを用いた実証試験のいずれにおいても、絶食処理は著しい成長促進効果をもたらすことが示された。さらに、マダイ養殖漁場での実証試験では、絶食処理は、産卵期を含む春季、および高水温期である夏季のいずれにおいても、絶食を行わない群に比較して、著しい成長促進効果が認められた。本年度は、ゼブラフィッシュならびに養殖マダイへの絶食処理により、主として肝臓での遺伝子発現の変化から絶食による成長促進効果のメカニズムを解析した。 ゼブラフィッシュでの絶食処理とその後の再給餌による肝臓での遺伝子発現の変化をRNAシーケンスによる網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、絶食後に糖新生や脂質代謝に関わる遺伝子の発現が有意に上昇し、生殖関連の遺伝子が有意に低下していた。以上の結果から、絶食により成熟が抑えられること、絶食後の再給餌により成長速度が著しく増加することが明らかとなった。 養殖マダイでの絶食処理とその後の再給餌による肝臓での遺伝子発現の変化をRNAシーケンスによる網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、夏季春季とも、絶食後に糖新生など代謝に関わる遺伝子群が有意に上昇していた。産卵期を含む春季に関しては絶食後に生殖関連の遺伝子群が有意に低下しており、絶食により成熟が抑えられることが示唆された。以上から、産卵期のマダイでは絶食により成熟が抑えられること、絶食処理による成長促進効果は、産卵期以外でも認められることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定していた養殖漁場での実証試験は全て行うことができた。また、解析の結果は、当初の予想を上回るものであった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、生産者との交渉の末、ブリの養殖漁場での対照区を設置した絶食試験を行うことができることとなった。よって、今年度はこれまでのゼブラフィッシュおよび養殖マダイのサンプル解析に加え、ブリ養殖漁場での実証試験とその解析を行うことにより、絶食処理の魚類養殖での有用性を明らかにする。
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