研究課題/領域番号 |
20K20575
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研究種目 |
挑戦的研究(開拓)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分41:社会経済農学、農業工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
櫻井 武司 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40343769)
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研究期間 (年度) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,990千円 (直接経費: 12,300千円、間接経費: 3,690千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2020年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
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キーワード | 栄養改善 / 乳児 / 栄養補助食品 / 貧血 / 市場 / 都市部 / サブサハラ・アフリカ / ガーナ / 栄養投資の適正化 / 無作為化比較試験 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究はサブサハラ・アフリカの中でも経済発展と人口集中が顕著なガーナの都市で、持続的な乳児の栄養改善を実現する方法を探ることが目的である。具体的には、母親に子どもの栄養状態(貧血かどうか)を知らせ、その結果、母親は市販の栄養補完食品を購入するなどして離乳食を改善するか、実際に子どもの栄養状態が改善するかを評価する。子どもの栄養状態に関する情報により子どもの栄養を改善する母親の行動が誘導できるなら、「市場を通じた栄養改善」が可能であることが示唆される。市場を通じた栄養改善は、栄養剤を無償で配布するような従来の栄養改善事業と比べて効率的であり、持続可能性が高いと考えられる。
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研究成果の概要 |
本研究は、子どもの正確な栄養状態を母親に知らせることで、子どもの栄養状態が改善することをガーナにおける実験により明らかにした。このことは、現在の母子健診に子どもの栄養状態の評価を含めれば、「市場を通じた栄養改善」が実現可能であることを示唆する。しかし本研究は、子どもの貧血のように母親がその対策を知らない場合は、情報提供だけでは効果がないことも示した。看護師の指導などによる母親の栄養知識の向上も必要である。さらに本研究は、栄養補助食品を短期間だけ無償配布することは、母親の学習効果により、当該製品の需要を高めることを明らかにした。つまり、無償配布は「市場を通じた栄養改善」の妨げになるとは限らない。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、サブサハラ・アフリカ(SSA)において残された大きな課題である乳幼児の栄養改善について、栄養に関する適切な知識を母親に与えれば、母親の自由な選択により栄養改善は実現可能であることを見いだした。SSAの乳幼児の栄養改善に市場が機能していることを明らかにしたことに学術的意義があるだけでなく、持続可能性の乏しい栄養補助食品や補助剤の無償配布を代替する新しい施策の立案に貢献したことに大きな社会的意義がある。
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